第2906目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


次の3つの言葉を整理しよう。


「自信」何かをしたり、何かのやり方を学ぶ自分の能力を信じること。
「自尊心」自分をどのくらい受け入れて尊重できるかということ。他人と、あるいは自分の内面の基準との比較にもとづく評価が多い。
「自己への思いやり」自分に対してどのくらい心の温かさを示せるかということ。困難な経験の最中にはとくに大切となる。


たとえば、自信が高くても、自尊心は低く、自己へ思いやりはさらに低いという人もいるだろう。そうした人々は、ヘレンのように、自分はとても有能だと思っているが、有能な自分が必ずしも好きではなく、成功できなかったときは自分にとても厳しい。


近年の行動科学の研究から考えると、自尊心より自己への思いやりを意識するほうが健全かもしれない。前者は自己評価と社会的な比較にもとづき、後者は自己受容にもとづく。自尊心のほうが、自分と他人の比較次第で大きく変わりやすく、自己愛と関連することも少なくない。


自己への思いやりのレベルが高い人は、日常的な問題に対して感情の柔軟性が高く、うれしくない意見をされるなど困難な状況にも否定的な反応をしにくい。さらに、物事の結果に対する個人的な責任感が強く、受け入れたくない現実を否認する傾向が低いと考えられる。個人的な間違いをおかしても自己批判がまり強くならず、したがって自分を受け入れる気持ちになりやすいというわけだ。