第2839冊目 その話し方では軽すぎます! 矢野 香
- 作者: 矢野香
- 出版社/メーカー: すばる舎
- 発売日: 2012/09/01
- メディア: Kindle版
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- 視線を外すときのタブーとは?
話すときは相手の目を見ながら、というのは自己演出の基本です。私たちアナウンサーもニュースを読むときは、もちろんまっすぐにカメラを見ます。
いわゆるカメラ目線です。カメラを睨まないように、カメラ全体を優しく見るように、という練習を何度もしました。ニュースを読んでいるときのアナウンサーは、顔がアップで映し出されます。その顔の中で一番目立つのが「目の動き」です。
あるとき、こんな実験をしてみました。ニュースを読んでいるときと同じサイズで自分の顔をカメラで撮り続けます。そして、顔は動かさずそのまま固定し、黒目だけを上下左右いろいろと動かしてみたのです。
その結果わかったことがあります。
相手から見て、アイコンタクトをとっていない、相手をまっすぐに見てない態度が、一番印象が悪いのではありません。最も印象が悪く感じるのが、アイコンタクトをとっていた後に、視線を外すときのそらし方です。
それでは、あなたはアイコンタクトをとっていた相手と目をそらすとき、上下左右、どちらに目を動かしていますか。
上に目をそらすのは記憶の回想です。
突然ですが、質問です。
おとといの夕食に何を召し上がりましたか。
ふと答えを考えたいまの瞬間。目線が右上、または左上にいきませんでしたか。何かを思い出しているとき、考えているときに目線が上がります。従って、上に目をそらしても、それほど悪い印象を与えません。
下にまっすぐ目をそらすのも問題はありませんでした。手元にある原稿を見ているという目を下ろすという行為は、「承認・了解」のサインになります。つまり下に目をそらすのは、頷きという非言語と同じ意味になるのです。
相手に与える印象において問題になるのは、目を上でも下でもなく、横にそらす行為でした。
相手をまっすぐに見ていた目をそらすということは、相手に関心がない、他のことが気になっている、内容に自信がない、何かトラブルが起きてあせっているなど、心ここにあらずの状態を示す軽い態度に見えるのです。