第2768冊目 人を動かす質問力 (角川oneテーマ21 C 171) 谷原 誠 (著)
- 作者: 谷原誠
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2009/07/10
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- 7つのフィードバッククエスチョン
裁判の山場は証人尋問です。私は、現時点で弁護士を15年経験しましたが、いまだに重要な証人尋問の時は緊張します。尋問前には十分に準備をして臨みますが、思い通りにいく時もあれば、うまくいかない時もあります。やはり、思い通りに証人から答えを引き出せた時は、痛快です。しかし、証人から思いがけず不利な証言が出てきてしまい、その後苦戦を強いられることもあります。
そのような中で意識的に行っているのが、証人尋問が終わった後のフィードバックです。証人尋問の記憶が新しいうちに反省を行います。主に次のような点について、思いを巡らせます。
- よくできた点は何か。
- それはなぜうまくいったのか。
- 今後も続けた方がよいことは何か。
- うまくいかなっか点は何か。
- それはなぜうまくいかなかったのか。
- 今後やめた方がよいことは何か。
- 今後改善すべき点はどこか。
私がフィードバックを行うのは、証人尋問だけに限りません。相手方との交渉が終わった後も、この7つの質問を自分に対して行い、フィードバックをします。そして、「次回の交渉では、必ずうまくやってやるぞ!」と決意を新たにします。
また、日常の電話でも同じです。電話を切った後、今の電話について振り返ります。時間がなければ、後で行います。
このように、日常の色々なことに対して7つのフィードバッククエスチョンを行っていると、その全てにおいて、向上しつづけることができます。人間には癖があります。弱いところもあります。癖は弱い点は、自分で強く意識して変えていかなければ、決して変わることがありません。自分を改善してゆくためには、自分の至らない点、劣っている点、弱い点を自覚しなければなりません。そのための1つの方法が、このフィードバッククエスチョンなのです。
漠然と日々を過ごしている人と、日々フィードバッククエスチョンを繰り返している人とでは、1年後には大きな差がついていることでしょう。私の場合には、誰も意見を言ってくれる人がいないので、自分で行いますが、他人に聞いているのもとても有効です。ただし、その人が正直に、厳しいことを言ってくれることが条件です。
私の事務所の勤務弁護士の中には、私と一緒に証人尋問や相談、交渉などを行った後、「私の先ほどの尋問(相談あるいは交渉)は、どうだったでしょうか? 直すべき点があれば指摘して欲しいのですが」と私に対してフィードバッククエスチョンをする者がいます。このような人が伸びる人です。自分の欠点に立ち向かい、それを克服するように努力しましょう。必ず伸びていくはずです。