第2691冊目 人生を思い通りに変える51の質問  谷原 誠 (著)


人生を思い通りに変える51の質問

人生を思い通りに変える51の質問

  • さらに成長するには?


私はこれまでの16年の弁護士生活の中で、多くの事件に関わってきました。最初に私が所属した法律事務所の方針は、完全に勤務弁護士に任せてしまう、というやり方でした。そうすると、あまり指導を受けることができず、勤務弁護士は、自分で勉強したり、相手の弁護士から技術を盗んだりして事件をこなしてゆくしか、弁護士として成長する方法がありませんでした。


指導を受けない中で自分を高めてゆくためには、本来指導者がやってくれることを自分で行わなければなりません。つまり、仕事をした後の反省、フィードバックです。私は、相手と交渉した後や、裁判が終わった後などに、必ずその交渉や裁判を振り返り、次の7つのフィードバッククエスチョンを自分にしました。


1よくできた点はどこか?
2それは、なぜうまくいったのか?
3今後も続けた方がよいことは何か?
4うまくいかなかった点はどこか?
5それは、なぜうまくいかなかったのか?
6今後やめた方がよいことは何か?
7今後改善すべき点は何か?


弁護士は常時数十件の事件を抱えて飛び回っていますので、1つの事件が終わったら、一刻も早くその事件のことは忘れ、次の事件に取り組みたいとという衝動にかられます。しかし、このフィードバッククエスチョンによって、悪かった点や直すべき点などを強制的に考えることができます。それによって、改善点を自分で意識することができ、成長することができるのです。


このフィードバッククエスチョンでは、失敗した点、改善すべき点を検討することはもちろんですが、同時に良かった点についても検討するようにしています。なぜなら、良かった点についても検討し、意識付けしておかなければ、次回にその良さが発揮できない可能性があるからです。ですから、このフィードバッククエスチョンは、すべての質問を行っていただきたいと思います。


私の法律事務所で見ていても、勤務弁護士の中で、このフィードバッククエスチョンを行っている弁護士は、着実に伸びています。


私と一緒に証人尋問や交渉を終えた後、「私のいけなかった点はどこだったでしょうか?」「今後改善すべき点はどこでしょうか?」などと私に聞いてきます。そこでフィードバックを行うと、自分の反省すべき点と改善すべき点が理解できます。しかし、フィードバックがもらえない人は、自分で行うしかありません。私もそうです。誰も何もいってくれませんので、交渉や会議、電話などを終えた後、自分で7つのフィードバッククエスチョンを行います。そうやって日々小さな積み重ねをしています。


小さな積み重ねが、後の大きな差となって現れてくるものだと思います。