第2666冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • フィードバックの「ポジティブな力」を使う


フィードバックは「修正」のためのツールだと思われがちだ。悪いところを直すためでの手段であり、何をまちがえたのか、どうしたらよくなるかを伝えるためのものだと。しかし、ルール6(得意分野を見つけて磨きをかける)で指摘したように、つねにゴールはまちがいを正すことだという思いこみを克服できた人にこそ、チャンスがある。ここ数十年、何がうまくいかないかではなく、何がうまくいくかに焦点を当てた画期的な心理学者が現れている。人は信じられないような困難に効果的に、ときには英雄のように立つ向かう――逆境に直面しても、打開し、堪え忍び、力強く成長する。そうした事例をポジティブ心理学の専門家は研究し、得られた成果を適用して、より多くの人が難題に力強く対応できるようにしている。


改善する領域を見きわめ、前向きに克服するのは、もちろん重要なことだ。生産性の高い練習を続ければ、おそらく早い段階で克服できるにちがいない。だが、そうした「修正」モデルは、変化と向上を導く「ポジティブな力」を低く見積もっている。コンサルタントのマーカス・バッキンガムの著書「まず、ルールを破れ――すぐれたマネジャーはここが違う」は1999年に出版されて以来、ビジネス本のトップにランクインしつづけているが、組織は人材の弱みより強みを生かすことに専念せよというメッセージを示して、大きな影響を与えた。「個人でもっとも成長する余地があるのは、最大の弱みがあるところだ」という前提はたいだいにおいて正しくない、とバッキンガムは言う。それどころか、すでに得意なことや、既存の才能を新たな状況に当てはめられるところで、もっとも早く、大きく上達する傾向がある。つまり、強みに着目したフィードバックは、弱みに着目したフィードバック以上に生産的とうことだ――もし正しくおこなえば。


この「もし」は重要である。私たちは「褒めること」がもっとも生産的でフィードバックをだと思い、そればかりに頼りがちだ。たしかに「よくやった。すばらしい!」と褒めるのはいい。人を元気づけて、やる気にさせる。しかし、それで終わりだと思っていないだろうか。前向きなフィードバックとは、褒めて気分よくさせ、動機づけをすることだ。皮肉にも、それが前向きなフィードバックの最大の弱みかもしれない。


フィードバックを、快適な動機づけのツールから、向上に欠かせない重要なツールに変えるために、「認識のことば」、「くり返しのことば」、「応用のことば」という3つの簡単なツールを追加しよう。