第2679冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • 仕事を褒める2


しかし「称賛」は、相手が期待や義務を越えることをしたときや、本当にすばらしい行動をとったときのために温存しておかなければならない。「今夜お皿を全部片づけて洗ってくれたのは本当にすばらしいわ!」、「今日練習が終わったあと、ボールとジャージをすべて回収してくれたのは本当に助かった」、「今日の社内打ち合わせで。、本当に言いにくいことをうまく伝えてくれた。思いきって発言してくれたきみを誇りに思う。今後の業務とコミュニケーションが大きく変わると思うよ」。期待どおりなら(「ありがとう」と言って)承認し、それを超えたら褒めるのだ。


教室で褒めることを練習するうちに、本気で真剣に褒めることが大切なのを学んだ。大人も子供も、称賛が本物でないときにはすぐに感じ取る。心にもない称賛を並べると、媚びていないととられかねないし、評価しようとしていることを損なってしまうおそれもある。心からの称賛と建設的な批評のバランスをとれば、称賛が価値あるものになる。


練習でも本番でも、褒めるべきときには褒め、それを公にする。公の称賛はきわめて強力だ。褒められた当人は注目を浴びるし、ほかの人たちにも、その行動がチームや組織にとって有益であることがわかる。組織内に効果的な練習を支援する「認知」システムができていれば、この前向きで重要なフィードバックを全員に知られることができる。この認知システムは、本番の行動だけでなく(たとえば、営業チームに毎週メールを送り、そのなかで従業員のひとりを褒める。「アンソニーは今日のお客様へのプレゼンで場外ホームラン級の勝利を収めました!」)、練習にも適用範囲を広げるべきだ(たとえば「ジェンが今日、最終弁論の練習に新しい戦略を取り入れました」)。このように練習も含めた認知システムを持つことは、練習中の前向きなフィードバックによって、本番でやるべきことがみんなにわかる点でとりわけ重要だ。さらに、たんに成功そのものを褒めるだけでなく(「シーラが昇進しました!」)、成功に結びつく「習慣」を褒めることにもなる。


私たちのワークショップで、教師全員がコーチから個別のフィードバックを受ける際に、みんなが互いのプライバシーを尊重して、ほかの教師に与えられるフィードバックを聞いていないことに気づいた。私たちはその本能にはしたがわないようにと働きかけた。それぞれの教師が受けるフィードバックや称賛は、グループ全体のものでもあるからだ。称賛が公になったときに、ほかの参加者も見習うべき行動を知ることができる。応用の利く具体的な褒め方をみんなが学んだうえで称賛を公にすれば、練習と改善の文化を力強く後押しできる。