第2678冊目 成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール ダグ・レモフ (著), エリカ・ウールウェイ (著), ケイティ・ェッツイ (著)


成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

成功する練習の法則―最高の成果を引き出す42のルール

  • 仕事を褒める


ひとつの活動のなかで1対1で褒めてスキルを伸ばす方法については説明した(ルール26)が、組織全体の前向きなフィードバックについて考えることも大切だ。練習の文化を育てるときに、祖息として日常化すること。ふたつめは「認知」の強力なシステムを作ることだ。


中学校のサッカーチームだろうと、ゼネラル・エレクトリックにおけるシックスシグマのブラックベルトだろうと、人は褒められれば応えるものだが、「認知」はあまりにもたやすく意味のない行為になりうる。すべての人に賞を与えたり、大量かつ不誠実に褒めたり、行動ではなくその人の性質を褒めたりすれば、よくて無益、悪くすると破滅をもたらしかねない。


スタンフォード大学社会心理学者キャロル・ドゥエックが、生徒を褒めたときの影響を研究している。その結果によると、子供の特定の行動(たとえば、むずかしい算数の問題をがんばって解いたこと)ではなく、性質(たとえば、利口である)を褒めると、成績が落ちることがある。「性質」は自力ではどうしようもないと思ってしまうからだ。性質を褒めると、生徒は自分を「利口」か「利口でないか」かに分類する。これに対して、行動を褒めると、行動を変えれば結果に影響を及ぼせると信じるようになる。相手が子供でも大人でも、「練習」するときにはドゥエックの研究結果から学ぶべきだ。選手、子供、従業員にとってほしい行動を褒めて、増やすのだ。


すぐれた教師が的確な褒めことばをうまく使って、生徒にやる気を起こさせているのを見れば、大人にも同じことができたのがわかる。私たちは、「承認」と「称賛」を区別し、より高い基準を超えたときに称賛することが重要なのを学んだのだ。ダグが「Teach Like a Champion」で説明しているように、「期待どおりの結果が出た場合には「承認」するのが適切だ。生徒がしたことをことばで表現したり、たんにありがとうと言うだけで、たいてい充分である」。たしかに、生徒、子供、選手、従業員、の行動が正しかったことを認めるのは大切だ。チームメイトを助けてくれてありがとう」、「お皿を洗ってくれてありがとう」、「今日の会議で意見を述べてくれてありがとう」――これらは期待が満たされていることを承認し、感謝することばだ。選手がチームを助けることも、子供が皿洗いをすることも、従業員が積極的に発言することも、期待されている。