第2482冊目 入社1年目の教科書 岩瀬 大輔 (著)


入社1年目の教科書

入社1年目の教科書

  • 頼まれたことは、必ずやりきる


社会人になって最初に同室になった先輩に、こんなことを言われました。


「岩瀬、新人のうちは頭が良いとか優秀だとかというのは、どうでもいいことなんだよ。上に頼まれた仕事を何が何でもやりきってくれるかどうか。仕事を頼む側からすると、最も大事なことは、そういうことなんだよ」


この言葉は、いまでも強く印象に残っています。実際のところ、部下を持つ立場に立ってみると、催促しないと頼まれた仕事に手をつけない人が、思いのか多いことに気づきました。


「すみません、まだやっていません」


「忘れていました」


そういう人たちが必ず口にする言葉です。仕事を依頼する立場になってみてください。あなたは、彼らを信頼することができるでしょうか。彼らの中には、優秀な成績で入社してきた人材も含まれているのです。


それに対して、一度依頼した仕事は、こちらからリマインドしてくとも、必ずやってくれる人がいます。


その人たちの仕事ぶりは、必ずしも完璧というわけではありません。それにもかかわらず、頼んだことをとりえあず最後までやってくれる人には、また仕事を依頼しようと考えるものです。


社会人になったばかりの人に、仕事に取り組むうえで最も大切なアドバイスを贈るとき、僕は最初にこの話をします。


頼まれたことは何があっても絶対にやりきる。


自主的に、督促される前に全部やりきる。


初めて経験する仕事、慣れない仕事であった場合、自分一人でやりきるのは難しいかもしれません。そうした場合には「ここまで自分でやりましたが、ここで詰まっています」という報告ないし相談を上司にこまめにして、前に進めばいいのです。目指すべきは、100点満点の出来栄えではありません。


かつての上司が僕に言ったように、いくら成績優秀であっても、何度も催促しない限り頼んだことをやってくれない新人に、積極的に次の仕事を頼む人はいません。


「何があってもやりきるんだ!」という強い意志を持って仕事に臨み、実際にやりきる人だけが信頼されるのです。


周囲から信頼に足る人物だと評価されれば、次の仕事が回ってきます。新たな仕事に取り組むことで、経験値が積み重ねられてきます。そのプロセスを重ねていくことで仕事の質が高まり、仕事の量の増加の一途をたどっていくのです。


仕事のスキルが上達し、量をこなす速さを身につければ、次のチャンスを得ることができます。ほかの人との間にあったわずかな差が、相乗以上のスピードで埋めがたい大きな差に広がっていくのです。


だからこそ、頼まれた仕事はとにかくやりきることが重要なのです。