第2320冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

  • 聴覚タイプ


聴覚のヒントがあるとやりやすいという人は、いくつかのフレーズを試してみよう。たとえば、誰かを見ながら「私はあなたが好きだ。あなたという人間が好きだ」と唱える。こうしたフレーズを1日に何回か試し、自分の心を体に生じる変化を感じること。「今、自分にはあらゆる選択肢がある。この世界に最大の愛をもたらす選択肢はどれか」というフレーズが気に入っている人も多い。


このように他人に幸せだけを考えることで善意を感じ、カリスマを高める誠意が強まるという人もいる。とはいえ、善意を示そうとしている相手が気難しいかもしれない。あなたは相手に困惑や恨みを感じじているかもしれない。あるいは距離を感じているかもしれない。


そういうときは、善意だけでなく、共感と思いやりまで踏み込む努力をしよう。善意とは、誰かの幸せを願うこと。相手の感情がわからなくてもいい。共感とは、相手の感情を理解すること。おそらくあなたも経験したことがあるだろう。そして思いやりとは、善意と共感を併せたもの。相手の感情を理解したうえで、相手の幸せを願う。


思いやりに関する研究で知られるポール・ギルバートは、思いやりに到達する3つのステップを次のように説明する。第1のステップは「共感」。相手が何を感じているのかを理解し、苦悩を見抜く。第2のステップは「同情」。相手の苦悩に感情を動かされる。そして第3のステップが「思いやり」。苦悩する人の幸せを願いたいちう思いから生まれる。


うれしいことに、私たちは自然に思いやりを抱く傾向がある。思いやりは、認識能力より深く強く、私たちの脳の回路に広く組み込まれている。神経科学者のリック・ハンソンに言わせれば、人間は今のところ地球上で最も共感力のある生物だ。


他人の幸せをすすんで考えようという気持ちがあれば、ボディランゲージが前向きに変わる。それだけでも、あなたが相手のことを真剣に考えていると思わせることができる。それこそカリスマのカギとなる要素だ。


泳ぎは泳ぎながら覚える。思いやりを持つことも、思いやりを持ちながら身につけるものだ。最初はぎこちなく感じるかもしれない。