第2238目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳) 


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

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これで、私たちの外見についてまわりの人々――陪審員から人事担当者、CEOまで――がどんなことに気付き、どんな意見を述べているか、要点をつかむことができたので、次のように自問してみよう。


まわりの人は私をどんなふうに見ているのだろうか?
私は自分自身をどんなふうに見ているのだろうか?
私は同僚や顧客にとって(美人やイケメンという意味ではなく)魅力的だろうか?
私には市場価値があるだろうか?
私はまわりによい印象を与えているだろうか?
私にはまわりの人が不愉快に感じるようなことがあるだろうか?
私が真剣に変身を試みれば、いいことがあるだろうか?


正直に答えてみてほしい。自分自身の評価に確信がもてないなら、親しい友人に尋ねてみれば、たぶんどんなふうに見えてどんな存在かを本心で語ってくれるだろう。誰にとっても、ときには背筋を伸ばすように、靴を磨くように、そして少しは体重を減らすようにと忠告してくれる親友が必要だ。


これらの質問への答によって、意欲をかきたてることができる。自分がなぜ就職できないのか、昇進できないのかと悩んでいるだけではどうにもならない。それは洋服がよれよれなせいだとか、お腹のぜい肉がだらしなく見えるせいだとか、率直に言ってくれる人などいないだろう。自分はマンネリに陥っている、まわりから尊重されない、昇進が遅れていると感じるなら、変わることができる。


姿勢や身振りのように、驚くほど基本的で単純なことを変えるだけでも、目に見えて状況はよくなる。軍事訓練から戻った若い男女に明らかに見てとれる変化は、姿勢と動きかたのふたつで、これらについては前の章で説明した。身近にいる両親や友人は、若者たちの変身ぶりにすぐ気付いて感心するそうだ。同じ人間なのに、自信に満ちた動きかたによって、生まれたときから知っている人たちの見えかたも変わる。制服のせいだけではない。若者たちの身のこなしが表現する、意志と威厳のせいだ。


しかし私たちの場合は、こう尋ねることからすべて始まる。「私には、または私の服装や行動には、私の邪魔をしているものが何かあるだろうか?」。


第1章で、私たちはまわりの人について、どれほどすばやくこうしたことを判断しているか――瞬間的な判断をしているか――を知った。場合によってはこの判断にかかる時間は四分の一秒以内という短さなのに、一度心に刻まれた第一印象を変えるには、非常に長い時間がかかることも知っている。実際、社会生活の能力に長けた人は、このような第一印象を毎日の経験に照らして吟味し続ける。これは生きていくうえで健全な方法で。知らない人から、ときには家族から、だまされるのを防ぐ手立てだ。それでもたいていの場合、第一印象は長い時間残ったまま消えない。そして私たちは誰でも、知人や職場にいる頭が固くて融通のきかない人物を思い浮かべることができる。そういう人にとっては、第一印象が永遠に続いている。


第一印象は一瞬で決まり、なかなか消えないものだが、あなたはほかの人からどう見られるかを大きく変えることができるし、そうするために最大限の努力を払うべきだ。知らないうちに相手を不愉快にしている行動などではなく、あなたはプロとしての能力で自分自身を評価してもらうだけの価値がある。その努力をしないのは、自分自身への裏切りではないだろうか。あなたは自分の行動によって、それだけでなく服装によっても、それを実現していくことができる。