第2235目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著), トニ・シアラ・ポインター (著), 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 美しさがもたらす配当は宿命ではない


そななら、誰もがジョージ・クルーニーやモデルのクリスティ・ブリンクリーのような容姿をもたなければならず、さもなければ失敗する宿命なのだろうか? どちらとも言えないというのが、その答だ。生まれつき容姿に恵まれればすばらしいことだが、ここには大きな秘密がある。つまり、私たちは誰でも外見を磨くことができるのだ。何も目を奪うほど美しくなる必要はなく、ただ身だしなみを意識し、どう見えるかに細かい心配りをするだけでいい。


身だしなみを整えて清潔を保つとともにメーキャップなどを利用して外見に気をつかい、髪にも注意を向ければ、きっと違いが出る。テレビでイメージチェンジ番組が人気なのは、外見を整えるだけで変身を遂げられるからだ。アドバイスに従うと見栄えも気分もよくなり、それがプラスの効果を生み出す。素敵に見える人は――必ずしも美貌は必要ない――自分でも気分がいいと感じ、より多くの友人をもち、周囲に認められ、手にする機会も増える。だから大切なのは、美人コンテストで優勝できるかや映画スターになれるかではなく、自分の外見や着るもの、与える印象に気を配るために、何ができるかだ。


見栄えをよくする必要性を無視するのは賢明ではないが、ビジネスの世界では技能といった別の要素で外見を超えることができ、周囲の人は外見に目もくれなくなる場合があることも思えておこう。すばらしい態度を身につけ、誠実で親しみやすければなおさらだ。ただしこれらの点についてでさえ、周囲の人は私たちを目で見て手がかりを得ている。


身長の低さや身体障害などの不利な面は、魅力、カリスマ世、意志、前向きな考え方によって克服することができる。身長が低くても、カリスマ性があったり、人を感動させずにおかない存在感をもっていたりする人は――セレブやダンサーなど――必ず実際より身長が高いと思われている。そして超人気司会者のオプラ・ウィンフリーは、体重の問題がさんざん取りさだされているにもかからわず、その暮らしぶりや個性、メッセージ、使命感、そしてそれらを身につけるための努力によって数百万人の支持を得ている。これがノンバーバルのすばらしい「美しさ」で、私たちはそれらを用いて、自分が好むところに、自分の強みや技能に、注目を集めることができる。


数々の世界機関でコンサルタントを務め、世界中の経営者と話してきた結果から私に言えるのは、経営者たちは容姿端麗で態度の悪い社員より、熱心に働き、すばらしい態度を備えた社員を欲しがっているということだ。一部の特別な業種を除いては、社員が美貌であることを期待している雇用主はいないし、顧客もいない。けれども、身だしなみを整え、きちんとした服装をして礼儀正しく、能率的に仕事をこなすことは、絶対条件になる。そしてこれがこの項で最も言いたいことになる――私たちは礼儀正しさを称賛し、身だしなみのよさを快適に感じ、仕事の効率を途方もなく重要だと考える。これら三つの資質を備えれば、容姿にどんな弱点を感じていようと、補って余りある。


だから、強みで勝負し、弱みを埋め合わせよう。身長が低かったり体重が重すぎたりするなら、長身に見える服装、またはやせて見える服装をすればいい。研究によれば、顎や頬骨がたくましい人は、権威とリーダーシップを感じさせるという。そうした特徴は、髪型や髭で強調することができる。顔が丸型なら、まわりの人から近づきやすく親しみやすいとみなされ、そのような性質は動きの模倣(ミラーリング)や首をかしげる動作によって、さらに強調できる。