第3072冊目 FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学 ジョー・ナヴァロ (著),‎ トニ・シアラ・ポインター (著),‎ 西田 美緒子 (翻訳)


FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

FBI捜査官が教える「第一印象」の心理学

  • 上辺だけとあなどってはいけない――外見のノンバーバル


「人は見かけではない」と言いながら、私たちはしきりに外見にこだわるのだからおもしろい。だが、外見というものがノンバーバル・コミュニケーションのひとつだとわかれば、矛盾しているように思えるこの執着にも納得がいくだろう。人間の脳の視覚野、つまり目で見たものを処理する中枢は、とても大きい。それが脳の中心部分として進化してきたのは、あきらかに正当な理由がある。生き残りのため、そして、美意識を満たすためだ。もし自分の車のすぐそばにだらしない格好をした男が立っていたといれば気付くだろうが、香水売り場に魅力的な女性が立っていたとしても、やっぱり気付く。私たちはいつも周囲の人たちがどんなふうに見えるかを観察し、目に入る情報に基づいて、誰と仲間になりたいかを決めている――そして雑誌が細心のファッションを売り込めば、たくさんの人がすぐに流行の服装を真似る。


人が美しいものに惹かれるのは生まれつきの性質だ。どの文化も、美貌、健康、若さ、美しいもの、対称性をもつものを好む。赤ちゃんでさえ美しいものが好きなことが、研究によって明らかにされている。赤ちゃんは左右対称の美しい顔を見ると微笑み、好きなものをもっとよく見ようとして、無意識のうちに瞳を大きくする。


私たちはまた、立派な体つきの堂々たる風貌も高く評価する。だからクラブの用心棒に配置されるのは、体格がよくて貫禄のある男たちだ。人は背の高いものに心を惹かれる生物的性質をもっており、リーダーの身長は全体の平均身長より高い傾向があることも、これで説明がつく。


外見がもたらす利益もよく研究されていて、「美しさがもたらす配当」と呼ぶことができる。経済学者によれば、容姿のいい人は仕事に採用されて昇進するチャンスを得やすいので、より多くの収入を手にする傾向がある。一方で、やはり研究によれば、容姿のいい従業員がいると売上が増えるので、会社も利益を得る。美しさがもたらす配当は広告主にはもうずっと前から常識となり、人気の化粧品はもちろんのこと、どんなものの広告にも見栄えのする面々が登場する。