第2172冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)

ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • オートフィードバック


送り手がコミュニケーションを続けられるように、エネルギーを補給する方法はないでしょうか? エネルギーを相手からもらえないのであれば、自分でつくり出してみてはどうでしょう。


ケアには、どんな形であれ、その場で行っている行為が必ず存在します。その行為そのものを言葉にしてみたらどうか。ユマニチュードでは「オート(自己)フィードバック」という技法を開発しました。自分たちがいま実施しているケアの内容を「ケアを受ける人へのメッセージ」と考え、その実況中継を行うのです。


そのとき同時に、ポジティブな言葉、つまりケアを受ける人との良好な人間関係を築くための言葉もそこに添えます。


「温かいタオルを持ってきました」「肌がきれいですね」「気持ちいいですか?」といった具体です。


次頁以下に、応答してくれない人に清拭を行う場面をあげました。


反応してくれない人であっても、まず自分で体を動かしてくるよう頼みます。常にポジティブな言葉を加えるのを忘れないでください。


それでも反応してくれないときには、ケアの予告と実況中継(オートフィードバック)を試みます。たとえば腕を洗う場面では61ページのようになります。


オートフィードバックによって、無言になりがちなケアの場に言葉をあふれさせることができます。これによって反応が少ない、あるいは反応してくれない人でも、言葉によるコミュニケーションの時間を7〜8倍に延ばせます。