第2173冊目 ユマニチュード入門 本田 美和子 (著), ロゼット マレスコッティ (著), イヴ ジネスト (著)


ユマニチュード入門

ユマニチュード入門

  • いきなりケアの話はしない


また、本人の同意を得られるまでは、ケア(仕事)の話はしません。ケアする人は「○○さん、お風呂ですよ」「○○さん、お薬ですよ」と、近づいたらすぐにケア(仕事)のことを強調して話しかけがちです。


たしかにそれが最も伝えたいことではあるのですが、ケアを受ける人の立場からは、仕事(入浴介助や服薬介助)のために来ただけというメッセージを受け取って、また嫌なことをされると感じてしまう可能性があります。


このような事態を避けるために、この節の冒頭でも述べたように「○○さん、お話をしに来ました。少しよろしいですか?」など、あなたに会いたいから来た、あなたと話をしたい、というその人とのかかわりを求めて訪室したことを強調します。


やってみたユマニチュード


今までは、自分の行おうとするケア、たとえば体をきれいにするとか、検温をするという目的のために訪室になっていたのかもしれません。


ユマニチュードでは、ノックをした後に患者さんんのところへ行き、必ず絆を深めるための会話をします。そうすると、患者さんがご自分のお話をしてくださったり、それまで抵抗があった方も受け入れてくれたりします。コミュニケーションが難しい方でも、緊張がほぐれたりします。そうすると、びっくりするほどスムーズに看護を進めることができるのです。


わたしは、体をきれいにしながら患者さんの心地よさをその手で感じることができたり、耳で感じることができたりすると、看護することが楽しいなという感覚が自分の中に戻ってきて、やりがいが高まっていることを実感します。