第1989冊目 心を上手に透視する方法 [単行本(ソフトカバー)] トルステン・ハーフェナー (著), 福原美穂子 (翻訳)


心を上手に透視する方法

心を上手に透視する方法


第一印象を変えたいなら、「外見」を変えなさい


私たちは期待することによって、あきらかに型通りのものの見方をしている。


先ほどから見てきたように、型通りのものの見方を変えることは難しい。だから他者に対して抱いた第一印象には大きな影響力があり、一度もった印象を手放すことはなかなかできない。


たとえば、ビジネスで非常に成功している人物を想像してみてほしい。


想像した人物は、太った初老の男性ではないだろう。おそらく、引き締まった体つきでオーダーメイドのスーツを着た、小ざっぱりしたいでたちの三十五歳から四十五歳くらいの経営者ではないだろうか。引き締まった体つきにビジネススーツを着こなした若い女性を、なぜ多くの人が思い描かないのだろう。これもまた、私たちの経験と期待が関係している。


ある調査によると、私たちはある特定の性格や特徴と、特定の外見を結びつけているそうだ。たとえばふくうりした人というと、心が優しい、好感がもてる、穏やかな性格だというイメージをもちやすい。筋肉質の人物は、痩せた人よりも冒険心があり、意志が強く、節度があると思われやすい。このように、第一印象は、外見によって決まってしまう。


私たちは、他人に対してまず第一印象をもってから、ほかの特徴、つまり表情や身のこなし、話し方などに注意を向ける。最初の印象が後になって変化することもあるだろうが、普通は、第一印象を変えるのは、とても難しい!


どんな服を着ようとか、どんな化粧をしたらいいかなどは、誰でも気にかけているだろう。自分は着るものには無頓着だと思っていたことも、茶色のブレザージャケットに紺色のズボンをはき、ピンクとオレンジのストライプのシャツを着ていたとしたら、それはそれで、すでにその人のことを何かしら言い表している。それなら、第一印象をよくするためにはどんな格好をしたらいいのだろうか、と思うだろう。


これは、あなたがどんな印象をもたれたいのかによって変わってくる。たとえば、社会的地位が高い人だと思われたいのなら、ほかの人よりも上のランクの格好をすればいい。


ただし実際のシチュエーションに合わせることが大切だ。気楽なパーティーで、一人だけスーツやビジネス向けの格好をしていたらおかしいだろう。逆に、みんながネクタイを締めているビジネスの場なのに、一人だけジーンズをはいていても浮いてしまう。


気楽なパーティーで好印象を持たれたいなら、カジュアルで質のよい服を選ぶことだ。ビジネスシーンで影響力を発揮したいなら、その場にいる中で一番いい服装で登場すればいいだろう。


今は、ただ外見のことについてだけ述べているが、実際に外見に間違いなく影響を及ぼすということに、注意してほしい。もしあなたが上司より上質の服を着たら、上司はそのことに気づき、あなたをライバル候補と見なすだろう。そうなりたくなければ、上司よりも質のよい服を着ないよう、気をつけたほうがいいかもしれない。


つまり、次のことが言える。外見には、その人について何かを知る手がかりがあるということだ。同様に、私たちはみんな、相手に外見が影響される。だからこそ外見の細部に注意を払うべきなのだ。どんな生地の服を着ているのか。服は擦り切れているか、それともきれいなままか。アクセサリーは装飾品をつけているか。いくつつけているか。結婚指輪をしているか。今風のデザインの靴をはいているか。それとも汚れていて古いか。


また相手を観察するときは、控えめに行うこと。じろじろと見られて気分のいい人はいない。