第1258冊目 武器としての交渉思考 (星海社新書) [新書] 瀧本 哲史 (著)
- 作者: 瀧本哲史
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/06/26
- メディア: 新書
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反応速度は超重要
一見バカバカしく思えることですが、超重要事項として、交渉では「反応速度を速くする」とうことも大切になってきます。
仕事のメールをもらったのにいつまでも放っておいたり、電話の伝言をそのままにしておいたりすると、一発で相手は「この人は自分のことを軽視している」と感じます。
あなたも逆の立場であれば、そう思うはずです。
どんなに忙しくても、すぐ反応する。逐一、対応する。頻繁に連絡する。
本当に時間がなくて返事ができないときは、電話でひと言伝えたり、2、3行のメールでもいいので、「あとでちゃんと折り返します」と伝えなくてはなりません。
これが、交渉を有利に進めるうえでも絶対的に重要です。
「そんなのたいした問題じゃないでしょう?」と思われるかもしれませんが、本当にきわめて重要なので、声を大にしてお伝えしたいと思います。
さきほどの述べましたが、自分が重要だと思われているかどうかについて敏感に反応する人(エグゼクティブはほとんどそうです)は、あなたの対応スピードを細かく観察しています。
「最近、あっちから連絡がぜんぜん来ない」「あいつは挨拶にも顔を出さない」とか「メールを3日間も放置された」などの理由で、重要な仕事の取引が失敗した話は、数限りなくあります。
出版の世界でも、作家は担当編集者のちょっとした振る舞いに異常なほど敏感です。編集者の側はちっともそんなつもりはないのに、「最近、自分が出した本の売れ行きがいまいちだから、あの編集者はちょっと俺を軽んじているのではないか……?」などと怒って暴れる作家は珍しくありません。
そういう人の狙いは「どれだけ自分が大切にされているか」を確かめることです。彼らがワガママを言ったり暴れたりするのも、相手の反応を試すのが目的なのです。
その「ゲーム」に全面的につき合う必要はありませんが、交渉に勝つためには相手の心理の背景を理解する必要があります。
営業マンが意味もなく頻繁に取引先に足を運んだり、「情報提供」などと称して連絡をとったりするのも、バカバカしいように見えて、じつはすごく効果があります。
相手が自分にとって重要な交渉相手だと思うならば、できるかぎり反応速度を速めて、連絡を頻繁にとることが大切であることを覚えておいてください。