第2331冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


人間は、自分の話を聞いてもらえるとうれしくなる。相手にたくさんしゃべらせるほど、相手はあなたを気に入るだろう。ある若いエグゼクティブは次のように語る。「面接では、話の90%を面接官にしゃべらせれば採用されます。私が会場を出るころには、向こうは私をすっかり気に入っています。面接での話題は、彼らにとって大切なことだったんですからね」


話を聞く達人はさらに、相手に自分は理解されていると思わせる、シンプルだがとても効果的なコツを知っている。答える前に間をおくのだ。ピアニストのアルトォル・シュナーベルはこう語っている。「私は、音符を操ること関しては多くのピアニストにかなわない。だが、音符と音符のあいだには間がある――そこに芸術が宿る」


間をおく方法とタイイングは、ビジネス会話の芸術でもあり、カリスマ的な話し手の大半が自然に使いこなしている。間をおくことは、交渉の重要なツールになるだけでなく、あなたと一緒にいる人々が自分自身にいい感情を抱くように導く。つまり、間をうまく使えば、相手にその人自身が知的で、おもしろくて、感情を与えるような人間であると思わせることができる。


誰かが話しているときは、まず表情で返事をする。相手の言葉を自分の中に吸収して、素晴らしい発言にふさわしい関心を払っていることを、表情で伝えるのだ。それができたら、2秒の間をおいてから答える。つまり、話し終えたら、あなたは呼吸しているという表情で返事をして、2秒おいてから言葉で返事をする。


もちろん、簡単にはできない。自信がなければ沈黙に耐えられない。あなたはぎこちなさをかんじるだろうし、この2秒間に相手が何を考えているのかわからないという不安にも襲われる。ただし、耐える価値のある2秒間だ。私のクライアントも、このシンプルなテクニックが大きな変化をもたらしたと語る。相手がよりリラックスして、理解されているのだと感じていることがわかり、さらに心を開いてくれるのだという。たった2秒の我慢で、大きな見返りではないか。


人の話を聞くスキルは、カリスマの基礎であるプレゼンスを高め、あらゆるスタイルのカリスマを高める。言い換えれば、コミュニケーションにおけプレゼンスだ。続いて、コミュニケーションでパワーと誠意を伝えるカリスマ的な話し方を学ぼう。