第2330冊目 カリスマは誰でもなれる オリビア・フォックス・カバン (著), 矢羽野 薫 (翻訳)


カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)

カリスマは誰でもなれる (ノンフィクション単行本)


話を聞くスキルが重要なことは、誰でもわかるだろう。いくつか工夫するだけで、あなたも単なる聞き上手から劇的に飛躍できるのだ。話を聞くスキルの基本は、適切な心構えだ。プレゼンスを示し、注意を払って、相手の話に集中する意志と精神的能力が必要となる。この能力は、言うまでもなく集中力のカリスマに欠かせないが、ほかにもあらゆるスタイルのカリスマを高める。


私のクライアントに共通する誤解のひとつは、話を聞くことを、「自分の番が来るまで相手に話しをさせておく」ことだと思っていることだ。残念ながら、それでは足りない。相手が話しているあいだも、自分が話す番を待ちながら考えごとをしていたら、たとえ自分が次に話す内容を考えたとしても、プレゼンスが欠けていることは顔に出る。あなたが会話に完全には集中しておらず、割って入る隙をうかがっていることは相手にもわかる。


プレゼンスは、効果的に話を聞くために不可欠だ。相手が話しているあいだも上の空にならないようにするテクニックは、すでに学んできた。たとえば、次にように集中力を修正する。

  • 話を聞きながらぼんやりしてしまうなら、呼吸や足のつま先など肉体的な感覚に一瞬だけ意識を集中させてから、会話への集中力を取り戻す。
  • いらいらして集中できないなら、些細なことでもその肉体的な感覚と向き合ってから、目の前にいる相手に再び意識を集中させる。

適切な心構えができたら、次は適切な振る舞いをしなければならない。聞き上手は、相手が自分は心から理解されていると感じられるように振る舞う。


優れた聞き手は、決して話の腰を折らない。相手が言ったことに感動して思わず口を挟みたくなってもだ。それがどんなに温かい褒め言葉だとしても、相手は最後まで話をさせてもらえなかったことに、たとえ少しでも怒りや苛立ちを感じる。私のあるクライアントは、相手の話を遮らないことは、私から学んだスキルのなかでも最も重要だと語っている。


非常に優れた聞き手は、自分の話を遮らせることができる。相手があなたの話の腰を折るなら、どんどん折ってもらおう。もちろん、話を遮ることは、彼らにとっても正しい振る舞いではない。しかし、仮に相手の振る舞いが間違っていても、あなたがやるべきことは、相手に「自分は間違っている」と思わせることではない。何回も口を挟もうとしてくるなら、あなたは文章を短くして間を置き、彼らが割って入るタイミングをつくればいい。