第1198冊目 THE 21 (ざ・にじゅういち) 2012年 07月号 [雑誌] [雑誌



話に感情や評価を交えないほうがいい


大人の話し方を身につけるために、最初に意識してほしいのは、話す前に「何を伝えたいか」というメッセージを明確にすることです。それがあいまいなままでは、相手は困惑するだけ。信頼感を抱く人はまずいません。


伝えたいメッセージを明確にしたら、7つのポイントを意識して、話すようにしましょう。すると、相手に話を正確に伝えることができ、信頼感を生みだせます。


これらのなかで習得しづらいのは、1の「具体的に発言する」です。話す内容すべてを正確に発言するという意味なのですが、やってみると簡単ではありません。


たとえば、「弊社は取引先のお客様は日本中にいらっしゃいます。最近はアジアの国々からも問い合わせがあります」では抽象的。「弊社の取引先のお客様は、関東をはじめ、名古屋、大阪、札幌、と全国にいらっしゃいます。担当者によると、二年前からは中国や韓国といったアジアの国々からも問い合わせがあるということです」というくらいまで、落とし込むことが必要です。


ポイントとしては、正確な数字・固有名詞を使うこと。また、誰かから聞いた情報なら、「〜によります」と情報源を明らかにすることが大切です。


2の「感情や評価を交えず、事実のみを話す」ことも、重要なポイント。仕事の話をしているときに、「むかつく」「苦しい」など個人の感情を交えることは誰でもあることでしょうが、そんな姿をみれば、相手は、あなたを「感情に左右される人」だと判断し、話の内容も信頼しません。感情は排除することが不可欠です。


一方、「評価」とは、何らかの主観が入った言葉のこと。たとえば、「イベントには家族連れなど七百品もの大勢の人が集まりました。わざわざ大阪から参加された方もいました」という一文でいえば、「もの」「大勢の人」「わざわざ」などが、評価の言葉です。こうした表現を使うと、客観性がなくなり、信頼に足る言葉ではなくなります。よくみせたい気持ちがあっても、それを抑えて、事実だけで構成するようにしましょう。そのほか、「よい」「多い」「やった」「成功した」なども評価の言葉です。


こららのポイントは、ただたんに心がけるだけでは、なかなか改善されません。私が実践してきたのは、自分の話を録音し、文字に起こして、点検すること。自分の話し方の欠点を、まざまざと実感させられるはずです。


録音当日に点検作業を行うと、冷静にみられないので、一週間程度、間を空けてから点検するとよいでしょう。