第1197冊目  早く一人前になるための仕事の覚え方 (仕事の基本) [単行本(ソフトカバー)]関根 雅泰 (著)


早く一人前になるための仕事の覚え方 (仕事の基本)

早く一人前になるための仕事の覚え方 (仕事の基本)


「アンラーニング」と「傾聴演技」で気持ちよく聞ける


アンラーニング


相手の話を素直に聞く方法として有効なものを、三つ紹介します。「アンラーニング」「傾聴演技」「自分メリット」です。


「アンラーニング」は、「学習棄却」つまり、今まで学んだことを一旦捨てて忘れることです。これは、とくに転勤者の方に当てはまります。前の会社や業界のやり方にこだわると、新しく移った先の人たちの話が聞けなくなります。前のやり方や自分の成功パターンにこだわらない。これがアンラーニングです。


新卒の人たちの場合、学生時代のやり方を一旦忘れることが大切です。学生時代に通用したことが、会社では通用しないこともあいます。だからこそ一旦「アンラーニング」をして、新たに学び直すのです。


まずは、コップの水を空にすること。半分くらいと言わず、全部捨て去って、新たに水を入れるくらいの気持ちで、新しく仕事に取り組んだほうが、結局は早く仕事を覚えられます。


自分が「素直になれない」「謙虚になれない」「相手の話が聞けない」と思ったときは、この「アンラーニング」という言葉を思い出してみてはいかがでしょか? コンサルティング会社に転職したKさんは、新しい職場を「ここは外国」と表現しています。外国で日本流を押し通そうとしても難しいですね。


傾聴演技


役者のように話を聞くのが「傾聴演技」です。本音では「つまらない話だなあ」「聞く価値ないなあ」と思ってもよいのです。でもそれを表には出さない。なぜなら、その思いを外に出すと相手に嫌われるのです。相手に嫌われれば、仕事を教えてもらえなくなりますから、結局私たちが損をします。


相手の話を素直に謙虚に聞けないとき、私たちが取りがちな言動があります。


それが、「コミュニケーション・ストッパー」です。つまり、学びマインドが発揮できないときは、えてして人の話を聞くことができていないのです。


相手の話を素直に謙虚に聞けそうもないとき、そんなときは「傾聴演技」をするのも一つの方法です。新聞記者やTVインタビュアーをイメージします。彼らを真似して、メモを取り真剣に相手を見つめ話に耳を傾ける。真似でよいのです。真剣に聞く演技をしているうちに、思ってもみない情報が得られるかもしれません。


大事なのは、最初から「この人の話は聞く価値がない」と耳をふさがないことです。私たちに聞く気がなければ相手にも伝わります。まずは演技でもよいので相手の話を聞く。それがだんだん本物のようになってきます。