第1196冊目 スタッフに辞める! と言わせない介護現場のマネジメント [単行本(ソフトカバー)] 田中 元 (著)
- 作者: 田中元
- 出版社/メーカー: 自由国民社
- 発売日: 2012/04/17
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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筆者は「介護事故防止」をテーマとした講演などを何回か行っていますが、その場で必ず出てくる相談が「現場スタッフがヒヤリハット報告を上げてくれない」という点です。
ここで紹介するハインリッヒの法則を使って、ヒヤリハット報告の重要性を説いたとしても、あまり結果が変わらないケースもあります。
必要になるのは、何がヒヤリハットに当たるのかを事例を交えガイドラインで示す、ヒヤリハット報告は日常のケアの向上にも必要であることを理解させることです。そのうえで、?ヒヤリハット報告の提出を人事評価に組み込む対策を考えます。
ある施設では、のガイドライン作成委員会を設け、筆者がアドバイザーを依頼されました。そこで提言したのは「その場の事象だけを基準にしない」ことです。
まず立ち返ったのは、どんなときに「ひやり」としたり「はっと」するかということです。それは、「自分が予測したり、安心だと判断したこと」とはズレた状況が発生したときでしょう。この場合、予測や判断の根拠は、事前にもたらされるアセスメント情報です。つまり、この事前情報との照らし合わせがポイントなのです。
前提として、組織内でもたらされる情報をきちんと熟知させることです。その情報では予測・判断できない状況が生じたら、すべて「ヒヤリハット」として報告させます。
もちろん、利用者情報が事前に頭に入っていても、自分の落度から「ひやり」「はっと」することもあるでしょう。しかし、それは「自分の落度が発生する」というリスクがアセスメントできていないことから生じています。アセスメントというのは、利用者側だけでなく、自己管理アセスメントも必要であり、このことを、ヒヤリハット報告を通じて理解させることが、それ自体、大きな事故を防ぐ力になっていくわけです。
管理職としては、現場把握の段階で「ヒヤリハット」発生の可能性をある程度見極めておき、あまりに報告が少ないスタッフに対しては、面談でリスクアセスメントの把握状況をチェックし、その結果を人事評価に反映させるという流れでもっていくとよいでしょう。