第495冊目 筋を通せば道は開ける フランクリンに学ぶ人生の習慣 斎藤孝/著

筋を通せば道は開ける (PHP新書)

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「徳」マスターへの道は、一冊の手帳から始まる
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では、これらをいかにして習慣化して身につけていくか、ここでフランクリンは、ピタゴラスのエピソードを引用する。それによると、ピタゴラスは門弟ち大して道徳律を課し、毎日朝晩に自分でチェックするように命じたという。ここからヒントを得て、自分も「徳」を毎日チェックすることに決めたのである。2000年以上時を隔てたピタゴラスから習慣づくりのヒントを得るあたりもさすがだ。


そこで用意したのは、一冊の手帳。その中で縦方向に13徳の項目を並べ、横方向に日〜土まで曜日を書く。ちょうど学校の時間割のような表をつくったのである。


そこに毎日、達成できなかったと思われる項目に「黒点」や「*」(アスタリスク)を書き込む。1週間を過ぎた時点で表を見返せば、その週にどの項目が未達だったか、一目瞭然になるわけだ。もし「*」がゼロになれば、〈道徳的完成に到達〉したかどうかはともかく、その人は当面の課題を克服したことになる。


これは、恐るべき発見ではないだろうか。今や手帳は多くのビジネスパーソンにとって必需品だし、その使い方う紹介した本や雑誌なども無数にある。あるいはやるべきことを「タスクリスト」にまとめ、こまめにチェックするよう勧める人もいる。しかし今から300年前近くも前に、フランクリンは「日常的に自分自身の精神性をチェック表にする」というもう1つの使い方を提案していたのである。


手帳なら、いつでもどこでも持ち歩ける。わずかな空き時間に開くこともできる。しかもを追うごとにデータが蓄積され、自分の進歩(または後退)のプロセスが一目瞭然になる。


それだけではない。例えば手帳に「1日1個ずつアイデアを書く」とか「目標を設定する」と最初は意気込んで決めたとしても、しだいに億劫になってくるものだろう。日記がたいてい長続きしないのと同じ理屈だ。しかしフランクリン方式なら、わずかに「黒点」か「*」のみ。面倒に思う暇すら与えない。


人は、真っ白なノートに書き込んでいこうとすると、つい身構えてしまう。よりよい言葉を選ぼうとしたり、見やすいレイアウトを意識したりしがちだ。。それでも継続できる人はいいが、負担にあることは間違いない。


しかし、あらかじめ用意された空欄を埋める作業なら、負担はグッと減る。むしろ埋めてみたくなる。いわゆる「100マス計算」に子どもたちが夢中するのは、そのためだ。


それに、意図的か偶然かは定かではないが、「○」「×」ではなく「黒点」や「*」を、しかも未達のときだけ記入するというルールもすばらしい。細かいことだが、「○」「×」には「正解」「不正解」とか「良い」「悪い」といったイメージがつきまとう。これが評価に影響を与え、甘くなったり、逆に過度な自己否定につながったりしかねない。


その点、「黒点」や「*」なら余計なイメージに左右されることがない。事務的・客観的にチェックしやすいわけだ。また、最終的には何も書き込まれない状態を目指すのだから、日が経つにつれて負担はどんどん減っていくことになる。


その意味でも、フランクリン方式は優れている。まさに習慣化のためのベストなノウハウといえるだろう。


あなたにすべてのよきことが雪崩のごとく起きますように♪


MOLESKINE モレスキン 2011年 パノラマダイアリー

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今日の名言


「どうせ情熱を注ぐのであれば中ぐらいのものよりもいちばんいいものに注ぎたまえ」――ゲーテ


今日の感想


こんにちは、ソンリッサです。


本日の一冊は、アメリカ資本主義の育ての親であり、実業家であり、政治家、科学者でもあるベンジャミン・フランクリンの生き方を解説した一冊。


25歳のときに自分に役立つ徳を選び出し、後天的に習慣として身につけたフランクリン。


ブライアン・トレーシーもこう言っています。「習慣はすべて後天性です。幸いにも悪しき習慣はあとから取り除くことができるし、かわりによい習慣を取り 入れられるのです。つまり、十分な時間と労力をかけて学ぶことを厭わなければ、どんな習慣でも身につけられるのです」


ビジネス書を読んで一番問題になる、「行動する」「行動をくり返して習慣化する」というの解決策がこの本には載っているのではないでしょうか。


ビジネス書を読んでもなかなか行動できない人、行動しても習慣化しない人は、ぜひ読んでいただきたい一冊です。


フランクリン自伝 (岩波文庫)

フランクリン自伝 (岩波文庫)


目次


序章 成功哲学の原点はフランクリンにあり(稀代の大偉人による「成功哲学
利益と倫理は矛盾しない ほん)
第1章 「徳」を手帳で身につける(徳はビジネスの“基本フォーム”だ
「徳」の一番目が「節制」である理由 ほか)
第2章 確実な成果を得る成功習慣(船乗りを目指していた彼が、印刷工に興味を持った理由
人生の“ベースキャンプ”としての印刷業 ほか)
第3章 確実な信頼を得る人間関係術(上司に「見込みのあるヤツ」と思わせる工夫をせよ
自分の主人よりも頼りにされる ほか)
第4章 筋を通して、強く生きる(フランクリンの大きな強み―“地続き感”
アメリカのあるべき姿を起草 ほか)


筋を通せば道は開ける (PHP新書)

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