第772冊目 伝える力 「話す」「書く」「聞く」能力が仕事を変える!

池上彰/著

伝える力 (PHPビジネス新書)

伝える力 (PHPビジネス新書)

目次


第1章 「伝える力」を培う
第2章 相手を惹きつける
第3章 円滑にコミュニケーションする
第4章 ビジネス文書を書く
第5章 文章力をアップさせる
第6章 わかりやすく伝える
第7章 この言葉・表現は使わない
第8章 上質のインプットをする


音読する


自分で書いた文章を客観的に見るためには、音読してみることも効果的です。


私の場合は、本を出すために書いた原稿を全部声に出して読み返すこともあります。


単行本一冊分といえば、四〇〇字原稿用紙換算でだいたい三百数十枚。キャスターとしてテレビで話すことを仕事としていた身としても、これはなかなか骨の折れる作業です。正直言って、疲れます。


そんな思いまでしてなぜそうするのか。それは、それなりの効果があるからです。


読んでまず気がつくことは、文章のリズムです。


書いているとき、あるいは黙読で読み返しているときには気がつかなかったリズムの悪さに、声に出して読むことで気づくことができます。


リズムが悪いと、読み手は文意を理解しづらいもの。たとえ文脈が通っていても、頭に入りにくいのです。


特に回りくどい文章に気づかされます。


一文が非常に長くて、何を言いたいのかさっぱりわからない。二重否定どころか、三重否定になっていることもあります。


「そのつもりがないわけではなかった」でも、ややこしいのに、「そのつもりがないわけでもなくなかった」なんて、いった「そのつもり」があったのかチンプンカンプンです。


一般的なビジネスパーソンは自分が書いた文章を読み返すといっても、原稿用紙で三〇〇枚もの文章を読まなければならないケースはまずないでしょう。多くの場合は、A4の用紙で一枚から数枚程度ではないでしょうか。この程度の分量なら、音読もそれほど苦にならないはずです。


毎回とは言いませんが、可能な範囲で自分の書いた文章を声に出して読み返してみる。職場でするときは、もちろん周りに配慮しつつ。


そうすることで、これまで気づかなかったリズムの悪さや回りくどい表現に気づくようになるはずです。


あなたに、すべての良きことが、なだれのごとく起きますように♪


今日の声に出したい言葉


「秘密を守る」と同じくらいのウェイトにあるのが「恩を忘れない」ということだ――江上治


伝える力 (PHPビジネス新書)

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