第494冊目 口説く技術 内藤誼人/著


スピーチのための訓練
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私たち日本人は、欧米人のようにスピーチの訓練をしているわけではない。フランスでは、基本的にテストといえば「口述」であり、それゆえ小学生のうちから話し方がとても流暢になっていくわけだが、日本ではそういう教育はされていないので、私たち日本人は、話力を高めるための経験、訓練が圧倒的に不足している。


スピーチの訓練をしたことがなければ、「スピーチが苦手」という意識持っても仕方がない。一度も泳ぐ経験をしたことがなければ、誰でもプールが怖いので一緒である。多くのビジネスマンが感じているスピーチへの苦手意識は、当たり前のことなのだ。きちんとした練習さえすれば、「なんだ、こんな簡単に身につくのか」と思うことができるはずなのだが


聞いていて心地よい話し方というのは、単なるおしゃべりでは絶対に身につかない。数学の勉強をしていれば、物理学も詳しくなれるかといえば、そんなことがないのと似ている。スピーチとおしゃべりは似ているように見えて、違ったスキルを要求される別の行動なのだ。どれほどおしゃべりの腕を磨いても、スピーチは上手にならない。


では、どうすれば話の上手な人間になれるのか。上司に報告を行うにしろ、接客を行うにしろ、耳に心地よい会話のテンポとリズムを身につけるにはどういう練習をすればいいのだろうか。


アメリカの発声研究家であるスーザン・バークレイ博士によれば、すぐにでも実行できて、しかも応用力の高い練習法は、「音読」であるという。つまり、新聞や雑誌やマンガを読むときに、大きく声を出して読むように心がけるのだ。


「今さら音読なんて……」と気取りたいのはわかるが、ぜひとも試してみてほしい。簡単そうに見えるが、やってみると意外に大変である。目で活字を追うのはすぐにできるが、いざ声を出してみると、どこで息継ぎをしていいのか、どのように抑揚をつけて読めばいいのかわからないのだ。舌を噛むことも多々ある。


さらにバークレイ博士は、訓練の一環として、携帯などから自宅に電話をかけ、留守電に向かって新聞の文章を読み上げてみることもアドバイスしている。筆者も試してやっみたことがあるが、留守電のメッセージに残された自分の声を聞いて、「俺は、こんなに話し方がヘタなのか」とガッカリするというよりも、恥ずかしさでどうしようなもくなった。しょっちゅう人前で話す機会があり、しかも自分では話が上手だと思っていたのだから、その恥ずかしさは人一倍である。しかし、まぎれもなくその話し方が、周囲の人が聞いている自分の本当の声と話し方なのだ。


さすがに通勤途中やオフィスなど、人がいるところで音読するわけにはいかない。しかし、出勤前、あるいは帰宅後に10分程度の時間を必ず設けて、音読を練習することは、魅力的な「声づくり」に役立つだろう。


時折、留守電やレコーダーに自分の声を吹き込んでみて、客観的な目で、スピードやテンポ、リズムなども確認すると上達は早くなる。あるいは親しい友人に批評家になってもらい、あなたの話し方にアドバイスをしてもらうといい。


あなたにすべてのよきことが雪崩のごとく起きますように♪


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今日の名言


「話し方の技術を身につける方法はただ一つ、話して、話して、話して、話して、話して、話して、話すこと だ」――ブライアン・トレイシー


今日の感想


こんにちは、ソンリッサです。


私も最初に録音した自分の声を聞いたときは、ビルの屋上から飛び降りたくなるほど恥ずかしい思いをしました。


ただ、人間不思議なもので慣れてしまうのですよね。本当に酷い話し方をしていてもくり返し聞いていると違和感がなくなってきます。


ICレコーダーで本格的に録音しなくても、携帯に録音機能がついていると思いますので、私も一度録音した自分の声を聞いてみるをおすすめします。きっと驚かれると思います。


目次


第1章 口説くための準備(相手の心を開いた状態にする
雰囲気をつくる最初の世間話 ほか)
第2章 見た目で口説く(人間、見た目で決まるもの
最良の顔の向きを知る ほか)
第3章 話し方で口説く(言葉なくして口説きは始まらない
まずしっかりと声を出す ほか)
第4章 行動で口説く(アクションが言葉を補完し、強化する
まばたきを減らす ほか)