第3953冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

-過去に対する責任

 

過去に対する責任は、文字通り、過去に発症した出来事に対する責任である。振り返った結果、不十分なものであることが確認できた場合は、謝罪、原因究明、再発防止策の立案、防止策の徹底等の取り組みに着手しなければならない。振り返りの結果、望ましい成果をあげている場合は、その状態が維持できるよう努める。

 

が、それで終わりではない。社会から求められるサービスレベルは上がり続けている。過去の実践を振り返って、よい成果が出ていたとしても、将来的には不十分と判断されるケースもある。よって、さらなるレベルアップに向けてチャン時する姿勢が常に必要になる。

 

現在に対する責任

 

現在に対する責任は、今、従事している業務に対する責任である。この責任を果たすためには、今、行っている業務が、手順や内容という面で質の高いものになっているか意識しながら働くことが要求される。正しい手順であり、かつ、適切な内容であるとの根拠が示せるか。この点を意識しながら業務に携わっていく。

 

業務遂行後は、なるべく早い機会に振り返る。少なくとも当日中には振り返り、点検する機会をもつ。とはいえ、特別に時間をかけて取り組むというわけではない。記録を書く際に、こう意識するだけで結構。「さて、利用者の立場になって考えたとき、何がうまくいったか。何がうまくいかなかったか。どこを改善、見直す必要があるか」。こう意識しながら記録を書けば、その日の業務が点検できるようになる。

 

振り返った結果、うまくいっていることが確認できた業務に関しては、今後もうまくいくよう心がける。同時に、さらによい状態になるよう、バージョンアップの方法を考える。うまくいかなかった業務がある場合は、何が原因であったかを考えたうえで、改善計画を立案する。明日の業務から実行に移していく。

 

未来に対する責任

未来に対する責任は、これからもずっと、よきサービスを提供し続ける法人(事業所、部署、チーム)となるために果たしていく責任を指す。この責任を果たすためには、未来に向けたイメージを明確にする必要がある。

 

社長、理事長、施設長の場合であれば、5年後、10年後といった中長期的視点で、法人や各事業所が、そのときに、どんな状態に達していることをゴール(到達目標)とするのか、どのような組織体制、どのような業務やサービスレベルに達していることを目指すのか、明確なイメージが必要になる。ゴールが明確になれば、達成計画の立案が可能となる。着実に計画を実行に移し、然るべきときには見事なゴールにたどり着く可能性が高くなる。

 

中間管理職の場合は、上級管理職とともに中長期的計画の立案、実行にも大きく関与するのはいうまでもない。同時に、1年から3年以内に達成を目指す当面の重点課題・目標設定と達成計画の立案、実行にも携わる必要がある。部下との連携によって、担当sる部門・部署があるべき未来に向けて進めるよう、着実に成果があげられるよう、リーダーシップを発揮していく。

 

チームリーダーや中堅職員として働く職員は、直属の上司ともに、チーム、部門、部署の「明るい未来」の実現に向けて、短期目標の設定、立案、実行にも携わっていく。経験が浅い職員の場合は、「明るい未来」の実現に向けて、どのような目標、計画が設定されているかを学び、その実現に向けて、着実に貢献していく意識をもって働くことが求められる。