第3952冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

-無理だと逃げないでチャレンジする姿勢をもつ

 

組織で働いていれば、当然、組織内で期待された役割や使命がある。身につけるべき力が、何らかの形で示されているはずだ。チームワーク、職員間の連携、専門的知識や技術の習得など、厳格なルールという形でなくとも、職場のなかに、果たすべき役割や保持すべき基本姿勢などについて決め事があれば、それを着実に守ることが職業人としての基本である。

 

あなたの職場には、おそらく、いないはずだ。職場内の決め事を、「向いていないから無理」「それ、私、苦手だからムリ」と否定的な見解を堂々と語る人は。

 

職業人として働いていれば、向いているかどうかにかかわらず、やらなければならないことはやらなければならない。苦手意識をもつことであっても、無理だと言って逃げるのではなく、チャレンジし、できるようにならなければならない。

 

あなたも、この点は経験済みのはずだ。福祉の仕事に就いた当初はうまくできないことがたくさんあった。少しずつうまく業務がこなせるようになっても、まだいくつか苦手な業務が残っていた。何とか、うまくできるように努力、工夫をし、乗り越えてきたに違いない。これまで、いくつもの苦手業務がうまくできるようチャレンジし、試行錯誤しながら乗り越えてきた実績があるはずだ。

 

もしそうであるなら、心配はいらない。実はあなたはリーダーシップを発揮する準備ができている。ただし、どんなに準備ができていも、「ムリだ」と思い込みに縛られている限り、リーダーシップは発揮できない。あなたに今、必要なのは、「向いていないからムリ」「苦手だからできない」と考える姿勢にきっぱりと別れを告げることである。

 

それでも、リーダーシップの発揮を「ムリ」「苦手」「できない」と言って放棄する人は、職業人として成長しない。チームワークの向上にも貢献できない。利用者一人ひとりの複雑なニーズにきめ細かく対応した質の高いサービスの実現など、まず不可能。はるか彼方の夢物語と化してしまう。

 

個人プレーではできない利用者支援

 

福祉の職場で職業人として働き始めれば誰もが学ぶ。利用者支援は個人プレーではできない。他の職員との連携が必要になる。チームワークの向上に貢献する姿勢が求められる。

 

組織人として働く限り、必ずリーダーシップ意識はもたなければならないし、行動としても明確に示すことが求められる。自己の専門性や実践力を高め、それを他の職員に教え、チーム内の問題や課題を、協力して解決する。そんな行動をまず自分から率先垂範して示すことが求められる。

 

それなのに、「ムリ」「できない」に終始していたらどうなるか。チームレベル、部署レベルでの成果や実績に貢献できない人になる。他の職員と協力して、利用者に質の高いサービスを提供するとう使命が果たせなくなる。

 

だからこそ、繰り返し強調したい。「ムリ」「苦手」「できない」との姿勢と決別し、リーダーシップの発揮に積極果敢に取り組むことが求められているのである。