第3905冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

ロールモデル提示力

 

部下・後輩に、よき手本を見せて、自分がどのような職業人となる必要があるのか、目指すべき職業人像を提示するのは、リーダーの重要な責務である。

 

部下・後輩にとって、「ああなりたい」と思ってもらえるロールモデルとなるためには、「人望力」の項で示した職業人としての基本姿勢や総合的な魅力の部分に磨きをかけることが必要だ。仕事に対する職業人としての基本姿勢(表情、所作、動作、立ち居振る舞い、段取りなど)、一人の人間としての総合的な魅力(話し方、物腰、品格など)、加えて、専門的な知識やスキルなどといった点について、磨きをかけていく。

 

リーダー自身がよきロールモデルになる。そう強く意識し、よき手本を見せるとの姿勢を貫く。これが、人が育つ職場づくりの重要なキーポイントになる。

 

役割期待提示力(的確な期待を部下・後輩に示す力)

リーダーは、職員にどのような役割を果たすことが期待されているのか、的確に伝えていく責任がある。役割期待が把握できていなければ、期待に応えながら働く職業人にはなれないからだ。

 

期待を伝える際には、常に、プラスの視点で伝えることが重要な基本原則になる。一人ひとりの力を心から信じ、力が存分に発揮できるようサポートする。リーダーからポジティブな期待をかけられれば、部下はその期待に応えて前向きに行動を起こそうという心理状態になる。自己成長につながらい、結果的に、職場の業績向上にも貢献できる人になる。上司の信頼と期待が部下を育てる原動力になるという、ピグマリオン効果が機能するようになる。

 

ピグマリオン効果が機能するには、常に職員に対する信頼と愛情が必要となる。大切にしているとう姿勢をもち続けることがポイントになる。表情、態度、姿勢などに十分に留意しながら、ポジティブな思いが伝わるよう全力を尽くすことが求められるのだ。

 

この点について、リーダーは決して逃げの姿勢を示してはならない。「そんな姿勢を示すのは無理」「性格上できない」という思いが、心のどこかであるとすれば、その思いは決然たる思いをもって封印しなければならない。リーダーの責務は他者の可能性を信じ、引き出すこと。自身のピグマリオン効果を引き出すリーダーとしての可能性についても、固く心から信じ、行動を起こすことが求められているのである。