第3937冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

リーダーが聞き上手だとスタッフも話しやすくなります。上手な話の聞き方のポイントを覚えておきましょう。

 

まず話全体を聞く姿勢をもつこと。たとえば、困っている様子のスタッフに「どうかしたの?」と声をかけたとき、スタッフが「リーダーにはわからないと思いますが……」と話し始めたら、どう思いますか? そのひと言でカチンときて聞く気をなくしそうです。しかし、リーダーがそれでは困ります。

 

スタッフの言葉尻や話の枝葉にとらわれずに、話を最後まで聞いてみる努力がリーダーには欠かせません。

 

スタッフが話すとき、その言葉と言葉の奥にある気持ちが、実は一致していないことがよくあります。リーダーから「感染症対策委員会の委員を任せんたいんだ」と声をかけられたスタッフが、口では「はい、できます。がんばります」と答えたとしても、内心は「失敗したらどうしよう」と不安だったり、「そんな仕事はやりたくないな」と思っているかもしれません。リーダーはスタッフの話し方や声の調子、態度などに注意して、スタッフの本当の気持ちをよく理解しましょう。

 

仕事の話やミーティングの場で、スタッフが見当違いな発言や主観的な発言をすることがあります。聞いていて思わず反論したくなったり、イライラしたりすることもあるでしょう。しかし、リーダーとしては、仕事の話を最後まで聞くことが大切です。聞いているだけでイライラするという場合は、メモを取って話の内容を整理しておきましょう。感情的になって口をはさむのは共感とは反対です。絶対にやめましょう。

 

そして、スタッフの発言を聞き終わってから「〇まるさんの話は、こういうことですよね」と共感をもとに話を要約しましょう。そのうえで「でも、それは私たちのチームのも目標から少しずれていませんか」と、スタッフ自身に気づいてもらえるように問いかけるのです。

 

もしスタッフが「そういうことではありません」と答えたら、「じゃあ、どういうこと?」と投げかけて、より深く考えてもらうきっかけにします。あるいは「そのパワーはこういうことに使ったらいいと思う」と相手の気持ちを踏まえながら別の提案につなげていったりします。

 

コミュニケーションは言葉を媒介にしています。コミュニケーションにおいて、言葉は大変重要なものですが、実は言葉そのものよりも、目に入ってくる情報(視界情報)や耳から聞こえてくる情報(聴覚情報)の方が多いという説があります。これを「3Vの法則」、もしくはこの実験を行った研究者の名前から「メラビアンの法則」といいます。

 

スタッフと話すときには、ときどきうなずく、相手の目を見て、「そうだね、それはわかる」とあいづちを打ちなど、共感して聞いている態度を示すことが大切です。

 

また、声の速さや声の大きさにも注意しましょう。たとえば気持ちの高ぶっているときは早口になったり、声がおおきくなったりしやすいものです。楽しい会話であればスタッフに合わせて少し早口で受け答えしてもよいでしょう。逆に何か問題を抱えたスタッフが焦って早口になっているようなら、少しゆっくりと話しかけて、相手の興奮をしずめていく必要があります。

 

相手との位置関係も重要です。面談などでは正面に向かい合うよりも90度の位置で座った方が、リラックスしてリラックスして話しやすくなるといわれています。聞く側にとっても緊張せず聞くことができるそうです。