第3936冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

最近では、サービス業・接客業はもちろん、医療や介護の現場でも接遇が重要であるとされ、接遇研修が実施されています。

 

接遇とは、「人をもてなすこと」「訪ねてくる人にとって快適で心のこもったあたたかい空間を提供すること」です。接遇と聞くと、「笑顔であいさつし

ていねいにおじぎする」「話し方、言葉遣い、話すときの表情や姿勢、立ち居振る舞い

、マナーなどに気をつける」「一人ひとりに最適のサービスを提供する」など、人によってさまざまなイメージをもっていることでしょう。しかし最も重要なのは、「相手に不快な気持ちを与えないためにはどうしたらよいか」についてみんなで話し合い、ルール化(標準化)し改善していくことです。身だしなみやマナーについては、スタッフ間でチェックしていきます。接遇は、利用者のためだけではなく、一緒に働く仲間に対して行うものでもあります。

 

「空間を提供する」という考え方でいくと、スタッフ同士が無言のまま、会釈もしないですれ違う状態は、利用者や家族など外部から来た人がみると、あんまり気持ちのよいものではなく、あたたかく快適な空間とは感じられません。一方、すれ違うときに「おはようございます」「お疲れ様です」とあいさつの言葉を交わしたり、目を合わせて笑顔で会釈したりする様子をみるのは、「いい雰囲気だ」「思いやりがある施設なのね」など、快適に感じたりよい印象をもってもらえます。自分の施設・事業所の空間のあり方を見直してみましょう。

 

身だしなみの主な注意点

  • 頭髪は、きちんと整える。不自然な色に染めるのは避ける
  • メイクは健康的で、口紅、マニキュアは濃すぎない。爪は伸ばしすぎない
  • においの強い整髪料、香水などは使わない
  • ひげ、鼻毛が伸びていない
  • 清潔な服装で、ほころびやボタンの取れがにないように
  • 靴は汚れていない。かかとを踏まない

 

-相手を受け止め、想いを共有する

「よく声をかけている」「相手の話をよく聞いている」など、自分は積極的にスタッフとコミュニケーションをとっているつもりでも、スタッフは「リーダーはいつも自分の話をしている」と思っていることがあります。

 

前述のように、コミュニケーションの基本は「相手を思いやる心」です。リーダーがスタッフの話を聞くときには、まずスタッフの気持ちを受け止め、その想いを共有することが大切です。これを「共感的に関わる」といいます。

 

共感とは相手と同じような考えや気持ちをもつことです。スタッフが個人的なつらい経験を打ち明けれてくれたとき、利用者からとても感謝されたと報告してくれたとき、リーダーはその言葉をしっかりと受け止め、同じ目線で「それは大変だったね」「それは素晴らしい。よかった」と心からの言葉を返しましょう。この場合、必ずしも相手と同じ経験や価値観をもっている必要はありません。スタッフの話をよく聞き、想像力を働かせてその気持ちを共有できればよいのです。話をしたスタッフは「私の気持ちをわかってもらえた」と感じ、リーダーに対する信頼感が深まります。

 

スタッフが苦しい状況にあったり、悲しみや悩みを抱えたりしているときに、「まあ、がんばって」「かわいそうに」「そのうちによいこともあるよ」などと言って、慰めるのがよいと思っていませんか。こうした対応は相手の状況を頭では理解していても、同じ気持ちになっていません。やや上から目線の同情なのです。同情が悪いとはいいませんが、言われたスタッフは「リーダーにとっては他人事なんだな」と感じしまうでしょう。

 

スタッフが自分の話を聞いてくれない、スタッフが何も相談してくれない、スタッフが何を考えているのかわからないというリーダーは、スタッフと共感的に関わってない場合が多いのです。スタッフの話に対して自分の意見や価値観を押しつけていないか、スタッフの気持ちになって話を聞いているか、少し自分を振り返ってみるとよいでしょう。