第3838冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

-相手を受け止め、想いを共有する

 

「よく声をかけている」「相手の話をよく聞いている」など、自分は積極的にスタッフとコミュニケーションをとっているつもりでも、スタッフは「リーダーはいつも自分の話をしている」と思っていることがあります。

 

 

前述のように、コミュニケーションの基本は「相手を思いやる心」です。リーダーがスタッフの話を聞くときには、まずスタッフの気持ちを受け止め、その想いを共有することが大切です。これを「共感的に関わる」といいます。

 

 

共感とは相手を同じような考えや気持ちをもつことです。スタッフが個人的なつらい経験を打ち明けてくれたとき、利用者からとても感謝されたと報告してくれたとき、リーダーはその言葉をしっかりと受け止め、同じ目線で「それは大変だったね」「それは素晴らしい。よかった」と心からの言葉を返しましょう。この場合、必ずしも相手と同じ経験や価値観をもっている必要はありません。スタッフの話をよく聞き、想像力を働かせてその気持ちを共有できればよいのです。話をしたスタッフは「私の気持ちをわかってもらえた」と感じ、リーダーに対する信頼感が深まります。

 

 

スタッフが苦しい状況にあたったり、悲しみや悩みを抱えたりしているときに

「まあ、がんばって」「かわいそうに」「そのうちによいこともあるよ」などと言って、慰めるのがよいと思っていませんか。こうした対応は相手の状況を頭では理解していても、同じ気持ちになってはいけません。やや上から目線の同情なのです。同情が悪いとはいいませんが、言われたスタッフは「リーダーにとっては他人事なんだな」と感じてしまうでしょう。

 

 

スタッフが自分の話を聞いてくれない、スタッフが何も相談してくれない、スタッフが何を考えているのかわからないというリーダーは、スタッフと共感的に関わっていない場合が多いのです。スタッフの話に対して自分の意見や価値観を押しつけていないか、スタッフの気持ちになって話を聞いているか、少し自分の振り返ってみるとよいでしょう。