第3930冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる! 近藤崇之 (監修)

 

 

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

介護リーダーの仕事と役割がわかる!

  • 発売日: 2017/12/07
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 

 

-対立や葛藤はどこでも起こりうる

 

同じ目標に向かっている組織であっても、相手に対する思い込みや自分のチームへのこだわりから、日常の会話、ミーティング、介護な場所でも対立や葛藤が起こります。その状態を放置しておくと組織・チームとしての機能が損なわれる恐れがあるため、リーダーは早めの対応を図る必要があります。一般に対立や葛藤の原因にはさまざまな場合があります。

 

同じチームのスタッフであれば、相手に期待を抱くのはよくあることです。しかし、それが実際と異なると、期待を裏切られたという感情が高まると深刻な葛藤になります。「こうあるべき」という「べき論」が出た場合は感情的になっている可能性があります。たとえば次のようなものです。

 

介護施設で4年の経験がある管原さんが訪問介護ステーションに転職してきました。先輩スタッフの河野さんは「経験者なら安心」と思い、管原さんと利用者宅に入浴介助に行きました。河野さんが入浴前にトイレでの排泄介助をしようとすると、管原さんは「いつもおむつですよね? わざわざトイレに誘導しなくても……。かえって危険じゃないですか?」と言いました。

 

河野さんは「排泄の自立は人間の尊厳に関わるのよ。トイレ介助すべきです。前の施設では利用者さんに入浴前はいつもおむつの中に排泄してもらっていたの?信じられない!」と怒ってしまいました。

 

相手をあまり理解することなく「こうだろう」と決めつけると、警戒心が強まったり悪感情を抱いたりしがちです。すると相手の方も警戒して、ささいなきかっけで対立することがあります。

 

相手の立場を考え事実に基づいて話をする必要があります。次の事例のような場合です。

 

介護専門学校を出て施設に就職した新人スタッフ沢田さんは、ベテランの佐藤さんが利用者によく思われたくとケアプランに定められた以上のサービスをしていると思っています。一方、佐藤さんも、沢田さんは現場経験がなく、教科書通りにしか行動できないと思ってします。

 

ある日、食事介助中に楽しそうに利用者の口にスプーンを運んでいる佐藤さんに、沢田さんが「この利用者さんは片麻痺があってもスプーンを運んでいる佐藤さんに、沢田さんが「この利用者さんは片麻痺があってもスプーンで食べれますよね。過剰なサービスは利用者さんの自立を妨げますよ」と言うと、佐藤さんは「利用者さんが喜んで食事できるように介助することのどこがいけないの? あなたは現場を知らないでしょ。偉そうに言わないで」とにらみ返しました。