第3874冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

何か問題が発生したとき、上司がまず取り組まなければならないのは、「何があったのか」、事実を冷静沈着に確認することである。

 

事実を確認する際には、攻め立てるような口調や姿勢は厳禁。問い詰めるような言動を示すと、相手は身を守ることで心が一杯一杯になる。冷静に何があったのかを振り返ることができなくなる。

 

相手に責任を取るように促す発言は、事実関係を確認する段階では、決して示してはならない。もし部下職員に責任を取る場面があるとすれば、故意や悪意が事実として明確になるケースくらいであるという点を忘れてはならないようにする。

 

問題発生後の事実関係によって、特定の職員の介護方法・支援方法などが不十分であることが明らかになった場合は、正しい技術の習得に向けたアドバイスを行う。利用者や家族からの苦情・申し立てのケースであれば、申立人の不十分な介護が行われていたという事実があったこと、事業所として職員の介護・支援の向上をサポートする体制が十分でなかったことが原因にあるという点を伝え、謝罪の意を示す。故意や悪意などによって発生した案件でなければ、責任は特定の個人に帰すのではなく、事業所が担う。この原則に沿いながら、今後の防止策を明示するというプロセスを踏むことが重要である。

 

部下から相談を受けるときには、相談に集中する。他の業務を行いながら話を聞く。マルチタスク的な聞き方は避ける。話を聞く際には、必ず、相手が「聞いてもらった」という印象を受ける所作、動作を示すようにする。よそ見をしながら聞いたり、別のことを気にしている動作を示したりするなどの行為は厳禁。

 

強い関心をもって聞いていることが相手にわかるような聞き方をする。また、相手が話した内容に即した反応やコメントをするよう心がける。悩みごとに関する相談であれば、解決に向けて協力するとう姿勢が伝わる言動を心がける。