第3873冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

 

 

意気込んで提案してきた人の出鼻をくじくような発言、姿勢は示さない。

提案や申し入れに対しては「ああ、面白そうですね。ぜひ聞かせてください」と前向きな発言で対応する。

過去に不十分な提案を繰り返した部下・後輩であっても、「話を聞きますよ」という姿勢で相対することを大原則とする。「またか!」といった否定的な態度や姿勢は決して示さない。

部下・後輩からの提案内容に不十分な部分があったとしても、いきなり問題点の指摘から入らない。「全体の趣旨はとてもいいと思いますよ」とポジティブな評価を加えたうえで、「ただ一点、気になるところがあるので教えてください」という流れで疑問や気になった部分の指摘をする。こうした指摘の仕方をすれば、相手に「受け止めてもらえら」「アドバイスをいただけた」という印象が与えられるようになる。

 

 

部下からあがってくる報告については、まずその内容の把握に力を注ぐ。内容の部分に対して適切な反応やアドバイスをする。

 

 

口頭あるいは文書による報告について、表現上のミスを指摘する場合は、報告してくれたことに感謝の気持ちを述べたうえで、「『頭痛が痛い』という表現は意味が重なっている言葉を続ける言い方であまり望ましくないんだって。安全なのは、『頭痛がする』っていう言い方。私もよく間違えてしまうことがあるんだけどね」などといった具合に、間違えるのはあなただけではないとう点を伝え、本人がミスを指摘されても、ショックが可能な限り小さくなるような伝え方をする。

 

何か正しいことを伝える際に、「これって常識だよ」「普通みんなわかっているんだけどね」「あれ、こんなこともわからないの」などといった言い方は決してしない。

 

自分の常識だけで物事をとたえない。どんなに時代が変わっても変わらないものもあれば、大きく変わることもある。日本語表現も例外ではない。かつては、誤った日本語表現として批判されていたものが、一〇年後には、“全然OK”な表現とみなされるようになる場合もある。大切なのは、自分のなかの価値観や判断基準だけで、物事をみようとしないこと。柔軟な態度で物事をみる姿勢をもつことが必要である。ある世代や個人にとっては誤解される可能性がある日本語表現の場合は、「その表現は年配の人が今も抵抗感を抱くことがあるので、気をつけてください」と“大人”の姿勢でアドバイスする。こうしたソフトな対応で、「その表現はやめたほうがいい」という話し手の意図は相手に十分に伝える。抵抗感なく、「あらためなければならない」という気持ちをもってもらえるようになる。