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第3851冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-介護の現場では「経験」がものをいう
経験学習とは、アメリカの教育学者デービッド・コルブが提唱したもので、自分の経験から教訓を導き出すことによって実践能力を高めていこうという考え方です。現実の介護現場を思い返してみれば、この経験学習の大切さがわかると思います。
たとえば、どんなに豊富な専門知識をもっていたとしても、「仕事のできるリーダー」と評価されるとは限りません。専門知識が豊富なことに越したことはありませんが、教科書的な知識だけでは対処しきれないこともあるのが介護の仕事です。
そこで、思わぬ事態に遭遇したとき、ものをいうのはやはり「経験」です。経験豊富なリーダーならば、「以前にも似たケースがあったけれど、こうしたときはこんな方法が有効」というように、その「経験の引き出し」から適切な指示やアドバイスを取り出して示すことができるはずです。当然、「仕事のできるリーダー」という評価を得られます。
しかし、経験さえ積めば、誰もが自然と能力が高まるというわけではないのです。リーダーになって、同じミスを繰り返し、「しまった」と思ったことはありませんか? 同じミスを繰り返してしまうのは、経験を見つめ直すことをせず、経験から学ぶ方法も知らないからです。それではせっかくの経験も宝の持ち腐れです。
経験から学ぶためには、きちんとした学び方を知っておく必要があります。コルブが提唱した経験学習には、①経験する、②内省する、③理論化する、④実践する、という4つのステップがあります。この4つのステップを踏み続けることによって、経験の蓄積があなたの成長の糧となっていきます。実際に、この学習モデルは、さまざまなところで活用されています。
成功体験や失敗体験から学ぶことは、よく行われていることです。そのなかには、体験(特に成功体験)を語る人もいれば、失敗体験から導き出した教訓を語る人もいます。前者は、たん案る自慢話に終わってしまうことがありますが、後者は、聞く者の関心を呼び、教育的価値の高い情報といえます。