第3796冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田 則夫 (著)

 

 

-現場を牛耳るベテラン部下

 

 

この手の職員は、現場を思い通りに動かし、部署外(チーム外)の誰も口を挟めない状況を作りあげてしまうという特徴がある。現場を牛耳るベテラン職員の力は極めて強大で、ともに働く職員はベテラン職員の支配下に入るか、現場を去るかの二者択一の状況に追い込まれる。職場に残る選択をしたものはすべて支配下に置かれるようにする。

 

 

一度、現場を牛耳られ、“鉄の軍団”ができてしまうと、実権を奪い返すのは容易ではない。奪い返そうという姿勢をみせるだけで、猛反撃をしかけてくるからだ。もし、あなたが実権を奪い返そうとするのであれば、奪還するまで、茶年次し続けるという強い覚悟が必要だ。あきらめて退却してしまうと、次回のチャレンジは極めて困難になる。首謀者は自信を深めるし、「軍団」のメンバーとなり職員集団の結束がより一層強くなる。その部署は彼らのやりたい放題となる。いつ、クレームが出てもおかしくないほど、低レベルの業務状況となる。

 

 

では、どうやって、事態の改善を目指すのか。方法はただ一つ。勝手なことができない環境を作りあげていくことだ。そんためには、施設長、中間管理職、主任などのリーダー職員間の結束が必要となる。“鉄の軍団”に対抗した“リーダー職員チーム”を作りあげる。

 

 

続いて、組織が進むべき方向、守るべきルールーを再確認する。特に大切なのは、基本的な接遇に関するルールの点検とバージョンアップ。やりたい放題の“鉄の軍団”は、接遇レベルが地に落ちているケースが極めて多い。自分たちのなかで作りあげた、勝手なルールや誤った価値観で業務をこなしている。

 

 

その部分を突き、改善を余儀なくさせるために、明確な遵守すべきルールを作りあげる。できあがり次第、全部署に業務命令という形で伝える。通達後、一か月経ったところで、全職員に自己評価をしてもらい、報告書を提出するよう指示を出す。