■
第3694冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか
危機意識を共有する職員集団を作りあげる際に、有効なのが、「職場内のハザードマップ」作成の取り組みだ。各部署の職員に、部署ごとに、マップ作成を行うよう指示を出す。自分たちが働く職場のなかに、ハザード(著しい危険)をもたらすリスクはないか、個人ではなくチームで洗い出す作業に取り組んでもらうのだ。
「職場内ハザードマップ」を作る際には、次の三つの視点から、部署内(
ユニット内)のリスクを洗い出す。
第一は、「場所」である。これまで、部署内で発生した事故や「ヒヤリハット経験」をベースとして、危うい場所のリストアップ作業に取りかかる。例えば、特定の居室の前の廊下が滑りやすい、つま先が上がりにくい利用者はスリッパのつま先部分が引っかかって転倒しやすい、などといったリスクをリストアップしていく。
第二は、「時間」である。特定の危うい出来事が発生する時間をリストアップしていく。朝食の時間帯には何らかの事態が発生しやすい。昼食後の時間に何らかの問題が発生しやすい、といった時間軸からみたリスクの洗い出しだ。
第三は、「状況」である。どのような状況になると、危うい出来事が発生するか。何らかのトラブルが発生するか、についてピックアップしていく。
それを、見える形で書き出していく。「場所」「時間」「状況」の三つの要素を考慮したうえで一目でわかるように書き入れていく。例えば、「昼食後の時間、Bユニット内のリビングでA氏とB氏が顔を合わせると口論になりやすい」といったイメージである。
こうしたリスクを書き出せば、防止に向けた取り組みも、的を射たものが作成できる。リスクのイメージが明確なので、すぐに実践に移せる実効性の高い防止策が立案しやすくなる。