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第3732冊目 介護リーダーの仕事と役割がわかる!
-注意しづらい、話を聞いてくれない…
リーダーになると年上のスタッフをもつこともありますが、年長の女性パートスタッフとよい関係を築くことは蒸す香椎と思いませんか? そのように感じているリーダーはとても多いのです。次のような声が聞かれます。
- きつい言い方をするので注意しづらい
- 言った通りにしてくれない
- 気の合わないスタッフがいると「あの人とは一緒に仕事をしたくない」などシフトの文句をつける
- ほかのスタッフがやらないなら自分もやらないという
- ミーティングや研修に積極的に出ようとしない
- 研修の成果が現れにくい
- 利用者に対して好き嫌いがあり、それを態度に出す
- 融通が利かない。自分の勤務時間内に仕事をやりきることにこだわる。利用者の状況を見て判断することができない
年長の女性パートも、介護の現場でのキャリアを重ねていると自分なりのこだわりがあり、やり方を変えること、臨機応変に柔軟にふるまうことが難しくなるのかもしれません。年長者としてのプライドから軽く見られたくないという気持ちもあるでしょう。
一方の年長の女性パートにもリーダーの態度について思うところがあるようです。
こっちがパートだからとバカにしている。偉そうな態度が嫌
何回言ってもできないと嫌みをいうけど、私がいなかったら困るでしょ
利用者には笑顔を振りまくのに、パートにはにこりともしない
私のことを嫌がっているのか、若いスタッフにばかり話しかける
こんなに働かせるなら時給を上げてよ
こうした声からは、年長の女性パートはリーダーが自分をどう見ているか、どう扱っているかを気にしていることがうかがえます。
役割を明確にし、成果を認める
介護の現場に限らず、今は女性パートが活躍している時代です。女性パートを戦力化することは企業にとって共通の話題です。多くの女性パートを営業職に活用し、売上を伸ばす企業もあります。そのような企業では女性パートに対しても「経営ビジョン」を語り、営業実績報告や中期計画など数字で示します。相手に「求める役割」を明確に伝え、必要な研修や情報提供を適切に行っているのです。女性パートに即戦力として活躍してもらい、結果を出した女性パートはトップ表彰などに認めます。
国が進める地域包括ケアシステムでも、元気な高齢者にはサービスを提供する側になってもらうことを勧めています。介護の現場でも今後さらに年長の女性パートタイマーとして働く可能性が高いのです。リーダーが年長の女性パートに対して苦手意識をもったり、注意しづらくて困ったと悩んでいては、先に進ません。
ポイントは年長の女性パートを戦力化することです。そのためにはリーダーから働きかけが必要です。
全員が気持ちよく仕事ができる雰囲気をつくる
コミュニケーションの基本はあいさつです。リーダーからあいさつする、現場に目を配り、よい仕事ぶりをほめる、感謝の言葉を忘れない、などです。一緒にいる時間が限られる相手だからこそチャンスを逃さずにリーダーから声をかけ、相手の好きなものや嫌いなもの、得意なことなどを知るように心がけます。敬語を使うこと、上から目線でほめたり注意したりしていないか気をつけることも大事です。
どんな仕事をしてほしいかを伝え、仕事を任せる
誰でも自分の存在を認められ、期待されていると知るとモチベーションが上がります。リーダーは年長の女性パートに「どのように働いてほしいか」という思いを伝え、相手がどう働きたいと思っているかにも耳を傾けましょう。そしてその人の得意そうなことから少しずつ責任のある仕事を任せ、その成果を評価します。このようにして徐々に活躍の場を広げています
リーダーが現場を歩き、目にしたことを指摘する
自己流のやり方をなかなか改めない人や、スタッフの好き嫌いの激しい人に対しては、リーダーが積極的に現場を歩いて現状に関心があることを示します。現場スタッフをねぎらうとともに、年長の女性パートに「現場を知らないくせに…」といわれないためです。そして実際に目にして気になった点を具体的に指摘します。その際も相手に敬意を払いながら、業務手順を守ることや人間関係を改めることを伝えます。次のように対応しましょう。
リーダー「Aさんの先ほどのやり方はどこで学んだ方法ですか」
パートA「前の職場でやっていました」
リーダー「なるほど、大変参考になりました。ただ、うちの施設には決まった業務手順があるので、それを覚えてその手順で行ってください。そいて気づいた点があったら会議で提案してもらえますか。スタッフ全員でよりよい業務手順にしてきたいと思っています。経験豊富なAさんの意見を参考にしたいのでぜひよろしくお願います」