第3672冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田則夫(著)

 

 

福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか

福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか

 

 

 

-日々の業務実践から学ぶ謙虚な姿勢

 

 

リーダー職員が実現を目指すのは、「現場で行われていることはすべて正しい」と安易にみなす現場至上主義ではない。業務レベルの向上、利用者本位サービスの実現、権利擁護の着実な推進に寄与できる本当の現場主義だ。

 

 

本来、現場主義とは、「利用者の最善の利益を最優先するという観点から、現場で行われている様々な業務を冷静沈着に分析、検証し、問題や課題がないか、確認する一連の行為」を指す。簡潔にいえば、日々の業務実践から教訓を学ぶ謙虚な姿勢をもち続けることを指すのである。

 

 

日々の業務をやり放しにせず、徹底的に利用者の立場にたって、本当にあのような手順や方法での支援でよかったのか、振り返り点検する。利用者に対して提供される直接支援・介護・相談支援・保育・療育はいうまでもなく、その他の間接業務もすべての振り返りの対象だ。ケース記録、業務日誌、個別支援記録の書き方、ケアプラン、個別サービス計画の作り方など、すべての業務を振り返り点検し、課題や問題を明らかにする。課題や問題については、改善に向けた計画を立案し、実行に移していく。これらの一連の取り組みを着実にやり遂げていくことを現場主義というのだ。

 

 

ポイントになるのは、次に示す四つの点で「学ぶ」姿勢を貫くことだ。

 

 

①利用者・家族に学ぶ。

②日々の業務実践に学ぶ。

③うまくいった成功体験に学ぶ。

④うまくいかなかった失敗体験に学ぶ。

 

 

これらの四つの点について、常に学ぶ姿勢をもち続け、自己成長を図っていく。現場主義をモットーに掲げ、職業人としての経験を着実に積み上げている人は、日々、「学ぶ」姿勢を実践している。現場で経験年数を積み重ねるだけで、漫然と定型業務を繰り返すだけの業務スタイルは、決して現場主義とはいえない。