第3621冊目 福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか 久田則夫(著)

 

 

 

福祉リーダーの強化書: どうすればぶれない上司・先輩になれるか
 

 

 

とはいえ、職業人として経験が浅い段階で、自分の意見が真っ向から反対されるという経験をすると、立ち直れなくなるのも事実だ。このケースの場合、リーダー職員にぜひ試みてほしいのが次の二点だ。

 

 

一つは、何らかの会議の場で、尻込みしている職員に発言する機会を提供する。しかし、その場で突然指名されると、戸惑ってしまうので、事前に、「次回の会議の場で、○○さんへの支援の方法についてあなたの意見を聞かせてください」とお願いする。その際、「事前に、メモでもいいから、あなたの考えを見せてもらえますか」と付け加えておく。後日、発言の下書きメモを見せてもらう際には、どうすれば、わかりやすい発言になるか、アドバイスする。こうすれば、本人にとっては、落ち着いて意見が言いやすくなる。

 

 

会議の場を迎え、当該職員が無事発言をした場合には、リーダーはサポート役に回り、ポジティブな発言でフォローする。こうすれば、「発言してよかった」という印象をもってもらえる。こうしたサポートを積み重ねることで、自分の意見が示せる人になれるよう導いていく。

 

 

リーダー職員にぜひ取り組んでほしいもう一つのチャレンジは、意見が言いやすい会議の場の設定だ。例えば、利用者への支援方法を検討する会議の場では、「何か意見はありますか」と参加者に問いかけるだけでは意見が出にくいため、その場合は、意見の引き出し方を一工夫する。おすすめなのは、七センチ×七センチサイズの付箋紙を活用した方法だ。参加者に付箋紙を各々五枚ずつ配布して、こう伝える。「それでは、五分で、○○さんに今後どういう支援をしていけばいいと思うか、付箋紙に書き出してください」。

 

 

五分後には、参加者が書き出した付箋紙を、会議テーブルの上や壁に張り出しながら発表してもらう。一枚一枚に付箋紙を読みあげるという形で発表してもらうので、意見表明が楽にできるようになる。皆が付箋紙を通して意見を出しているので、会議に主体的に参加しているという意識も高まる。