第3601冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-自分の力を放棄しない

 

 

さて、先ほどお話した通り自分に合った仕事であって、かつ政治的リスクが妥当な範囲内に収まっている仕事に就いたとしても、それだけでは十分ではない。あなたは、その仕事において適切にふるまわなければならない。具体的には、地位にふさわしい権限を主張することである。なけなしの力を自分から手放しては絶対にいけない。程度の差こそあれ、自ら敗北宣言をして身を引いたり譲歩してしまう人があまりに多いのは、まったく驚くほどである。そうした行動は、そもそも自分自身をどう見るか、というところから始まっている。自信のある人は強い姿勢に出て力を誇示するが、自信のない人は弱腰になり卑屈になる。

 

 

社会心理学者のキャメロン・アンダーソンとジェニファー・バーダルによれば、権力をあまり持っていない人や持っていないと感じている人は「非言語的な抑制行動」をとりがちだという。わかりやすく言うと、低姿勢になり、肩をすぼめて縮こまり、動作も小さく弱々しくなる。だが第7章で論じたように、力を印象づけるのは声や話し方やふるまいである。下を向いてぼそほそしゃべり一向に自己主張しないのでは、周囲の人から見下されるに決まっている。そうなればますます影が薄くなってしまうだろう。