第3602冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

アンダーソンとバーダルが行った実験では、高い地位にある人や人事・予算の権限を握っている人は、状況を自分でコントロールできると考え、自分の思う通りに行動することが多かった。これに対して地位が低く権限の小さい人は、困難な状況に萎縮していまい、強い方針を打ち出せない傾向が見られた。

 

 

また、権力者に対して戦略的な行動をとることができず、自分の立場を悪くしてしまうケースもよくある。たとえば上司に対して不用意に本音を漏らす、などはその典型である。ある有能な報道記者は、本社のボスが管理にばかり時間を使っていると文句を言い、もっと現場のサポートをしてほしいと不満をぶちまけた。すると「文句の多いヤツ」と見なされて干されたという。「上司とはうまくやるか、できなければ転職するしかない。だが狭い業界では、転職は必ずしもよい選択肢とは言えないだろう。となれば、うまくやる方を選ぶしかない」と彼は反省している。ときに「ガス抜き」をし、思う存分に愚痴や本音を吐き出したらきっとせいせいすることだろう。だがそのターゲットが権力を握っている相手なら、いい気分も一時しか続くまい。報いはすぐにやってくる。