第3591冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-粘りつづける

 

 

カリフォルニア大学の五つの治療センターでデータを統合するアテナ・プロジェクトが始動した頃、私は同大学理事長のチリャード・ブラムと話をしたことがある。ブラムは投資銀行で資産運用マネジャーを務めており、妻はカリフォルニア州議会上院議員のダイアン・ファインシュタインである。私は「本業があり、さらにたくさんの大企業で社外取締役を務め、非営利団体の理事も歴任し、また奥さんも政治家なのに、どうやって身を処しているのか」とブラムに質問した。すると彼の傑作な答はこうだった。「妻やローラに何か頼まれたら、とにかくイエスと答える。それがベストだということがだいぶ前にわかった。たとえノーと答えたって、遅かれ早かれやらざるをえないんだからね。最初からイエスと言っておく方が時間の節約になるし、身の危険も少ない」。なるほど当のエッサーマン自身、自分が成功したのは粘り強いからだと認めている。彼女に言わせれば、成功する科学者は研究が滞っても失敗しても決してあきらめない。その粘りでブラムにもイエスと言わせているのだろう。エッサーマンは周囲から「ブルドックのようにしぶとい」と評されているようだ。