第3588冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

 ブラウンに対する評価は必ずしも一致していないが、三点がきわだっていることはまちがいない。それは勤勉と献身、知性、そして「希少性の演出」である。ブラウンは新卒でBPに入社した生え抜きの社員で、三〇年の仕事人生をBP一筋に捧げている。その第に、アラスカ、ニューヨーク、クリーブランド、ロンドンと世界各地を渡り歩き、馬車馬のように働いた。典型的な仕事人間だったと言える。

 

 

ブラウンの頭のよさは、いまだに語り草である。物理学専攻だったブラウンは、内事にも法則を見つけようとし、自分が理解できるまで根掘り葉掘り質問を発した。その鋭い分析力は、財務面でも探査面でも発揮されている。だが何よりも「卓説した俊才」という評判形成に寄与したのは、並外れた理解力と記憶力だった。このあたりは、フォードと国務省の両方で実力を発揮したローバート・マクドナルドと似ている。

 

 

ブラウンはまた、内気な性格を逆手にとった。スケジュールを注意深く管理し、めったに人に会わない。したがって幸運にも彼に会えた人は、ありがたいことだと感激する。「ブラウンと会って話をした」だけで、自慢できることになったのである。しかもブラウンの知性は少人数の会談でいかんあんく発揮されたから、社内外にも名声がとどろき渡る結果となった。

 

 

評判の効用は状況や本人の個性によってちがってくるが、重要なのは、どのような評判を起こしたいのかを慎重に考え、どんなイメージを演出するか、評判形成にどの程度時間を使うか、どんな人や組織と関わるか、計画を立てて臨むことである。