第3582冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-記憶を手がかりに感情を呼び起こす

 

 

ときには、自分の気持ちにそぐわない感情を演出しなければならないこともある。確信が持てないのに自信ありげな様子をしなければならないとか、じつはビクビクものなのに怒って見せなければならない、あるは深く失望し落胆しているのに理解と共感を示さなければならない、等々。必要な感情を演じるには、自分が実際にその感情を抱いた瞬間を思い起こし、そのときの状況に身を置いたつもりになるとよい。その出来事を思い出せば、そのときのkなじょうがよみがえってくるだろう。その意味で、感情の演出は嘘をつくのではなく、別のとき別の場所で抱いた自分の本物の感情をいまここで提出するのだと言える。

 

 

とは言え多くの場合、一種類の感情を示せば事足りるわけではない。たとえば高い地位に昇進した場合、自分のやることはわかっているという自信に満ちた態度で臨み、頼り甲斐のあるリーダーであることを示す一方、謙虚さや協調性を示す必要もある。さもないと、傲慢で鼻持ちならない上司だと思われかねない。このように、ときに相反する感情を同時に表現するのは、それなりのコツがいるし練習も必要になる。だが基本は同じである。そうした感情を引き起こした出来事や人物を思い出し、その状況に浸ることだ。