第3583冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-準備の時間をとる

 

多くの人が力強い印象を与えられないのは、不安や動揺を抱えたまま話しはじめるからだと考えられる。演劇学校で教えるビル・イングリッシュは、俳優の卵にこんな訓練を課す――キミは、ある大手製薬会社の新任CEOだ。前任者は不正疑惑で更迭された。おまけに会社は、安全上の理由からある医薬品のリコールをしなければならない。社内は混乱し、社員はリストラに遭うのではないかと怯えている。そこで君に、社員の信頼を取り戻し、士気を高め、自分をリーダーとして認めさせるようなスピーチをしてほしい。

 

 

この課題をうまくこなす生徒は、共通点あがる。聴衆を前にして重圧を感じているにもかかわらず、見ている方がかなり長いと感じるほどの間をとって考えをまとめるのである。何を話すかを決め、空間をどう遣いどんな動作をすれば効果的かを考え、その間に落ち着かせ、本来を力で発揮できるようにする。重要な発表を行う前に十分な時間をとれれば、それに越したことはないが、緊急事態などで準備ができない状況は大いにありうるし、予想外の質問が飛んできてその場で応えなければならないときもあるだろう。そんなときは深呼吸し、心を鎮める時間をとるとよい。そうすれば、無防備にいきなりしゃべり出すよりはるかによい結果が得られるだろう。