第3578冊目「権力」を握る人の法 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

-力を印象づけるふるまい

 

 

ピーター・ユベロスメジャーリーグの元コミッショナーで一九八四年のロサンゼルス・オリンピックを成功させたことで有名である。ユベロスはその年に「タイム」誌のマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。そのユベロスの座右の銘は、こうだ――権威の二割は与えられるものだが、八割は自ら勝ち取るものである。まさに至言である。勝ち取る方法の一つは、オリバー・ノースのように、自信を持って、あるいは自信ありげにふるまうことである。たとえ自信がなくとも、決然とした態度を示さなければならない。インテルの共同経営者にして元CEOのアイディ・グローブは、その好例である。ハイテク業界の経営者は誰でもそうだが、グローブも、テクノロジーの未来を自分が正確に予測できるとは思っていない。では、見通しが定かではないのにどうやって会社を経営するのかシリコンバレーのある会議でそういう意地悪な質問が出たとき、グローブは次のように答えた。

 

 

 「そうだね……一部は自己研鑽だが、残りははっきり言ってハッタリだな。だがハッタリは現実になる。なぜなら、自分を奮い立たせ、楽観的にする効果があるからだ。自信ありげにふるまっていれば、ほんとうに自信がついてくるものでね。そのうちハッタリも、それほどハッタリとは言えなくなってくる」

 

 

グローブは、大見得を切ることの重要性をよく理解していたと言えよう。ハリエット・ルービンによれば「グローブは、有能でも内気なマネジャーにはオオカミ塾と呼ばれる強烈な研修への参加を義務づけていた。その研修では、上司につかみかからんばかりの勢いで議論をする訓練や、大声で提案を突きつける練習をする。生来おとなしい人も、オオカミらしくふるまわなけばいけない」という。