第2256目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則

  • 力を印象づけるふるまい


ピーター・ユベロスメジャーリーグ(MLB)の元コミッショナーで、一九八四年のロサンゼルス・オリンピックを成功させたことでも有名である。ユベロスはその年の「タイム」誌のマン・オブ・ザ・イヤーに選ばれた。そのユベロスの座右の銘は、こうだ――権利の二割は与えられるものだが、八割は自ら勝ち取るものある。まさに至言である。勝ち取る方法の一つは、オリバー・ノースのように、自信を持って、あるいは自信ありげにふるまうことである。たとえ自信がなくても、決然とした態度を示さなければならない。インテルの共同創業者にして元CEOのアンディ・グローブは、その好例である。ハイテク業界は誰でもそうだが、グローブも、テクノロジーの未来を自分が正確に予測できるとは思っていない。では、見通しが定かでないのにどうやって会社を経営するのか。シリコンバレーのある会議でそういう意地悪な知る問が出たとき、グローブは次のように答えた。


「そうだね……一部は自己研鑽だが、残りははっきり言ってハッタリだな。だがハッタリは現実になる。なぜなら、自分を奮い立たせ、楽観的にする効果があるからだ。自信ありげにふるまっていれば、ほんとうに自信がついてくるものでね。そのうちハッタリも、それほどハッタリとは言えなくなってくる」


グローブは、大見得を切ることの重要性をよく理解していたと言えよう。ハリエット・ルービンによれば「グローブは、有能での内気なマネジャーにはオオカミ塾と呼ばれる強烈な研修への参加を義務づけていた。その研修では、上司につかみかからんばかりの勢いで議論をする訓練や、大声での提案を突きつける練習をする。生来おとなしい人も、オオカミらしくふるまわなければいけない」という。