第2257目 「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)


「権力」を握る人の法則

「権力」を握る人の法則


アンディ・グローブ流ハッタリの原則は三つある。第一に、始めは演技だったことも、しばらくすれば演技でなくなる。時が経つうちに演技が身についてきて、自信を持ってふるまえるようになるし、自分の言っていることを自分で信じられるようになる。すでに述べたように、考えが行動に感化されることは多くの研究でも確かめられている。第二に、表現された感情は周囲に影響をおよぼす。自信や満足感といった感情は、伝染するのである。たとえば空港の通路を笑顔で歩いたら、すれちがう人々も笑顔で応える。だがにらみつけたら、向こうにらみ返す。感情の伝染と市場の関係を調べた研究によれば、ほほえみかけられた人はしあわせな気持ちになり、奨められた商品にも好感を抱くという。この場合、感情は人から人へ直接伝説するのではなく、相手の笑顔に心地よさを感じた人は、買った品物に満足するという仕組みである。第三に、感情も行動も以降増殖的な性質を持つ。あなたが笑顔で接し、相手からも笑顔が返ってきたら、あなたはもっとうれしい気分になるだろう。人間どうしの反応にはこのように再帰的な性質があるため、一度作られたムードは安定して続きやすい。たとえばグローブは、立場上自信ありげにふるまう必要があった。だがその力強い自信が周囲に反応するため、グローブ本人が次第に自信を持って前進できるようになった。


このように、立ち居ふるまいはリーダーシップにとっても権力や影響力を手にするうえでも、重要なポイントとなる。