第3565冊目「権力」を握る人の法則 ジェフリー・フェファー (著), 村井 章子 (翻訳)

 

 

 

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

「権力」を握る人の法則 (日経ビジネス人文庫)

 

 

 

ほとんど人は褒め言葉の威力を過小評価しており、したがって十分に使いこなしていない。誰かがあなたを誉めたとしよう。そのときのあなたのリアクションは、大きく分けて二通りある。一つは、ネガティブな感情を抱き、誉められても心が動かないだろう。それどころか、お世辞を言って自分に取り入ろうとしていると判断した場合、「これほど見え透いた手で私を丸め込めると思っているのか? 私はそんなに甘く見られているのか?」と自分自身に対するネガティブな感情につながりかねない。もう一つは、誉め言葉を心からのものとありがたく受け取る反応である。この場合には、誉め上手な相手の対人スキルに好感を抱き、また誉められた自分を誇らしく感じる。そして人間はそもそも誉められたいものだから、ほとんどの場合に誉め言葉を額面通りに受け取り、誉めてくれた相手に好感を抱く。したがって、誉め言葉を出し惜しみしてはいけない。カリフォルニア大学バークレー校教授のジェニファー・チャットマンは、未発表の研究の中で、誉め言葉の効果をグラフ化すると逆U時型になるという。すなわち誉め言葉の効果は始めは急激に高まるが、だんだんゆるやかになり、ある点を越えると(誉めすぎると)効果が薄れ、単なる媚びへつらいと受け取られてしまう。どこかにその限界点がはるはずだが、データからはどこと特定することはできなかった、とチャットマンは話している。