第2979目 パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術 マーティン・ニューマン (著), 小西あおい (著)


パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術

パーソナル・インパクト 「印象」を演出する、最強のプレゼン術

  • 「第一印象」の評価を変えるのは難しい」


私が考える「第一印象(ファースト・インプレッション)」とは、初対面の人と最初に共有した一定の時間内に受けた印象を指します。挨拶程度だったら、30秒ぐらいかもしれないし、場合によっては30分、あるいは1時間以上のケースもあるかもしれません。


初めてその人と共有したトータルの時間で、第一印象は形成されていきます。一瞬の見た目だけ、会話を始めて10分後まで……などと機械的に区切れるものではないのです。


しかし、ビジネス関係でプレゼンテーションをする場合などは、聴衆はスピーカーであるあなたが目の前に登場した時点、つまり話を始める段階で、あなたがどういう人かをある程度、判断しているのです。


プレゼンテーションは、一対一や少人数でお互いの意思の疎通を図れる通常のコミュニケーションと違い、スピーカーからの一方的なコミュニケーションです。いわば不自然なコミュニケーションゆえ、聴衆はあなたをぱっと見た目で判断せざるを得ないのです。


マルコム・グラッドウェルの「ブリンク(Blink)第1感――最初の2秒」という本に、「まばたきひとつするタイミングで、人の印象は決まっている」と書かれています。


「最初の2秒」という時間の制約について、興味深い話を日本のある技術者の方から聞きました。デパートや新幹線の車両にある電光掲示板は、日本語では7〜8文字、アルファベッドならその倍の量が「2秒」で処理されるように設計されているそうです。なぜなら、それが人間の平均的な視覚探索能力であるからだというのです。


人は文字情報を2秒で認識しますが、1962年のバーツ博士の研究では、顔の表情などのビジュアル情報は、20万分の1秒で認識されると報告されています。私たちはまばたきより速く、視覚から得た情報で、印象=雰囲気を判断しているのです。


あなたがプレゼンの場で〝最初〟に聴衆に与える印象は、その後のコミュニケーションに影響する非常に重要なものだと私は考えています。